補聴器と集音器の違いとは?機能や特徴、販売形態などのメリット・デメリットを比較

補聴器と集音器の違いは?機能や特徴、販売ルールなどのメリット・デメリットを比較

聞こえをサポートする機器として代表的な、補聴器。

補聴器とは何かと聞かれたら、なんとなくわかる人も多いでしょう。

では集音器とは何かと聞かれたら、なんと答えられるでしょうか。

筆者は聞こえを補うための補聴器について、より詳しく調べるまでは集音器という言葉を認識していませんでした。

集音器もまた聞こえを補助するための機器という点では補聴器と同じですが、実は音を伝える仕組みに違いがあります。

補聴器と集音器の大きな違いは、以下の通りです。

項目補聴器集音器
分類医療機器音響機器
調整音量・音質など細かな調整が可能音量のみ調整が可能
購入対面販売が義務通信販売も可能

この記事では、補聴器と集音器の基本的な特徴からどんな違いがあるのかについて説明します。

あなたの聞こえを快適にするために、補聴器と集音器のどちらを使用したらいいのか選ぶためのご参考になれば幸いです。

目次

補聴器とは

補聴器は聴力に合わせて足りない音を補う医療機器

補聴器(ほちょうき)は、難聴や聴力が低下した人、聴覚障害者の聞こえを補う補装具です。

主にマイクやアンプ、スピーカーから構成され、周囲の音を増幅して耳栓やイヤモールドを介して耳の中に大きくした音を伝えます。

雑音を軽減しながら必要な音を届けるため、軽度から重度の難聴や聴覚障害者でも使う人に合わせた調整が可能です。

補聴器のメリット

補聴器のメリットは、厚生労働省の厳しい基準を満たした医療機器であり対面販売が義務づけられていることです。

薬事法で定められた管理医療機器として指定されており、聴力や聞こえが低下してきた人が装用することを前提に開発・製造されています。

専門家によって個別に調整できるため、不要な音を軽減したり足りない音だけを大きくしたりするなど細かい調節が可能です。

耳穴の形状に合わせたオーダーメイドで高いカスタマイズ性があり、使う人の聴力や生活環境・状況、デザインの好みに合わせて選べます。

補聴器は購入したら終わりではなく、その後の聴力に応じて細かな調整を繰り返すなどアフターサポートも行っています。

補聴器のデメリット

補聴器のデメリットは、基本的に1台が最低でも10万円以上と高価で購入へのハードルが高いことです。

とくに高度・重度の難聴にもなると高い性能を求められるため、片方の補聴器を購入するだけでも30万円以上になることもあります。

補聴器は医療機器に分類されるため、対面販売が義務づけられていることから購入するには医師による診断や聴力検査が必要です。

その後に専門店への訪問が必要で、購入手続きが煩わしく感じられることもあります。

使い始めはやはり慣れないもので最初の頃は補聴器からの音に慣れず、少しにぎやかに感じるかもしれません。

そのため高い音や低い音、雑音を軽減するなど使う人の聞こえに合わせて聞きたい音だけを細かく調整しながら慣らしていくために、専門店へ出向いて定期的なメンテナンスを受けることが重要です。

補聴器のメリット・デメリットについては、下記記事も併せてお読みください。

集音器とは

集音器はすべての音を大きくする音響機器

集音器(しゅうおんき)は、周囲の音を一律に増幅させる音響機器です。

内部に搭載されたマイクで周囲の音を集めながら耳に届けることで、聴力が正常な人や軽い難聴の人でも日常生活における聞こえにくさを緩和してくれます。

一般向けに販売されている既製品であり家電製品でもあるため、オンラインショップや家電量販店、メガネ店などで気軽に購入することが可能です。

集音器のメリット

集音器のメリットは、専門家によるカウンセリングの必要がなくインターネットや家電量販店などで手軽に購入できることです。

補聴器のように耳鼻咽喉科医の診断を受けてから正規の専門店へいって、購入するための手続きをする必要がありません。

テレビが聞きづらい・会話や会議で聞き返すことが多くなったと思ったら耳に装着し、終わったら取り外すなど聴力の低下を意識し始めた人が柔軟に使うことができるのも集音器のよい点です。

例えば普段はテレビの音が聞こえづらいからと大音量にしていたところを集音器を使う人だけが音量を大きくしてくれるため、家族や周りの人に迷惑をかけずに好きなだけテレビを楽しむことができるなど、日常生活での聞こえづらさを解消するために気軽に使えます。

お手頃な価格設定も集音器のよい点で、一般的には数万円で購入することができるため補聴器のような高価な買い物をするという気負いも必要ありません。

難聴の大きな心配がないのであれば、集音器は安価で手軽に購入ができる心強い聴こえのアイテムです。

集音器のデメリット

集音器のデメリットは、音を一律に大きくするため使う人の聴力に合わせた細かな調整ができないことです。

小さくて聞こえにくい音を大きくするということは、もとから大きく聞こえる音もさらに大きくしてしまうということであり耳にダメージを与えてしまう可能性があります。

集音器は微細な調整が可能な機能は備わっていないことから、購入後は自分で音量を調整するといった対応しかできません。

むやみに集音器を使い続けてより大きくした音で聞き続けると、難聴を進行させる可能性もあるため注意が必要です。

難聴の程度は病院で詳しく検査しないとわからないため、日常生活で聞こえに不自由さを感じたら一度耳鼻科で聴力検査をするなど診察をおすすめします。

補聴器に比べると、手頃な価格である分だけ機能性に制限があります。

また周囲の雑音まで大きくなってしまったりハウリングがしやすくなったりすることも多いことから、難聴の人を対象として作られたものではありません。

補聴器と集音器の違いを把握せずに購入してしまうと、無駄な出費につながり音の聞こえにくさを改善できない可能性があるため注意しましょう。

補聴器と集音器の違い

インターネットの広告やオンラインショップ、通販などでよく見かける補聴器と集音器は見た目が似ていますが、大きく3つの違いがあります。

最後のほうに補聴器と集音器の違いを比較表にしていますので、参考にしてください。

機能・特徴の違い

仮に聞こえにくくなったといっても、例えば女性の高い声が聞こえにくかったり電話やインターホンの音を聞き取れなかったりするなど聞こえ方は1人ひとり異なります。

個々の聴力によって大きくすべき音質も異なり、大きな音をさらに大きくするとうるさく感じてしまうこともあります。

そのため、大きな音は必要以上に大きくしないよう制限をかけることが必要です。

補聴器は小さい音や通常の音、大きい音も調節できる機器ですが、集音器の多くは音を一律に大きくするため大きな音もさらに大きくしてしまい聞きとりにくいことが起こります。

つまり雑音の入り方にも違いがあり、補聴器は雑音を軽減して必要な音を拾うことが可能ですが、集音器は雑音まで大きくしてしまうのも特徴の1つです。

日本聴覚医学会でも集音器は会話を聞くための機器ではないと伝えており、難聴の人や聴覚障害のある人が会話を聞くための機器には補聴器を使うことを推奨しています。

参考:補聴器と集音器はどう違うのですか?(日本聴覚医学会)

また一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会の公式サイトでも、補聴器と集音器の違いを説明していますので参考にしてください。

参考:補聴器と集音器は何がちがう?(日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会)

医療機器の可否

補聴器は、薬機法(旧・薬事法)という法律により定められた医療機器(管理医療機器)です。

効果や安全性で一定の基準をクリアし、正式な認定を受けなければ補聴器として販売できないことになっています。

一方で、集音器は医療機器ではありません。

家電製品の中でも音響機器に分類され、厚生労働省による特別な制約が設けられていないため家電製品と同じように量販店や通信販売で手軽に購入することが可能です。

補聴器の医療機器としての意義については、別記事で紹介します。

使う人に合わせた調整の可否

補聴器は、難聴の進行や聴力が低下した人の状態に合わせて適した音を届けることを前提に開発・製造しています。

また補聴器は高価な医療機器のため、対面による販売を義務づけられています。

一方で集音器は、使用する人の聴力に合わせて細かく調整することを前提としないため調節ができるのは音量機能だけです。

また専門家との対面販売ではないため、家電製品と同じように操作に関する不明点や故障時の対応で困ることも多く見られます。

補聴器は、販売したからといってこれで終わりではありません。

補聴器を購入する際には、医師の診断をはじめ専門家によるカウンセリングや聞こえのチェックを行い、使う人の聴力や聞こえの状態に合わせて調整を行います。

購入後に聴力が変化したりライフスタイルが変わったりしても使う人の聞こえに合うように再度調整を行うほか、万が一の故障時対応や定期点検と購入後も最適な聞こえができるようアフターサポートも整っているのです。

補聴器と集音器の比較表

補聴器と集音器の違いを比較表にしましたので、見比べてみてください。

項目補聴器集音器備考・補足
医療機器×補聴器は医療機器、集音器は音響機器
対面販売補聴器は対面販売が義務、集音器は家電店で購入可能
通信販売補聴器も集音器も通信販売がある
調整能力×補聴器は細かな調整が可能だが、集音器は音量調節のみ可能
装用調整×補聴器は耳の形状に合わせられるが、集音器は既製品
アフターサポート×補聴器は購入後も調整・メンテナンスなどが可能
補助制度×補聴器は使う人の難聴度によって補助が受けられる

補聴器と集音器の違いまとめ

見た目や音を大きくする点は似ているものの、機能や性能など細かい部分で大きく異なる補聴器と集音器。

補聴器と集音器の違いを簡潔にいうと、補聴器は聴力に合わせて足りない音を補う機器、集音器はすべての音を大きくする機器です。

補聴器は品質や安全性、有効性について一定の基準をクリアした「医療機器(管理医療機器)」であり、集音器や助聴器はあくまで家電製品の中の「音響機器(オーディオ機器)」に分類されるため、全く違う商品カテゴリの製品だといえます。

それぞれにメリットやデメリットがありますが、基本的には聴力のレベルに応じて選ぶことが重要です。

あなたの聞こえを補う機器には補聴器と集音器のどちらが最適なのか、医師による診断や聴力検査でしっかり調べて購入し使いましょう。

以下の記事では、補聴器とは何か・どんな時に使うのか、特徴や使用目的など基本的な情報を紹介しています。

相手の声や会議などが聞きとりにくくなったりした時に、聴こえをサポートする補聴器の役割を解説していますのでご参考ください。

  • ブログランキング・にほんブログ村へ
  • 人気ブログランキング
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

つむぎのアバター つむぎ クリエイター

重度難聴で耳あな型補聴器を装用
聴覚障害者として身体障害者手帳3級を所有
本業・副業ともにWebを中心としたデザイン制作

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次