
病院やクリニックなどの医療機関では、基本的に携帯電話やスマートフォンによる通話は禁止されています。
当然ですが、耳鼻咽喉科の病院内での通話もしてはいけないことになっています。
とくに補聴器を装用している人の近くで通話することによって悪影響を及ぼすことをご存知でしょうか。
この記事では、携帯電話などの通話によって耳鼻咽喉科を含む病院や補聴器に与える影響について紹介します。
医療機関で通話をしたことのある人や通話をすることに問題ないと考えている人は、耳鼻咽喉科の病院や補聴器に与える影響について改める機会になれば幸いです。
通話による聴力検査への影響
そもそも医療機関での通話は禁止されていますが、耳鼻咽喉科の病院やクリニックではとくに聴力検査の測定結果に影響します。
通話による聴力検査への主な影響は、以下の通りです。
検査の精度が低下
聴力検査が実施されている検査室の近くで通話があると、携帯電話から発生する電波が検査に使われるオージオメーターなどの機器やスピーカーに直接影響を与えます。
雑音やノイズとして検査結果に現れることで測定精度に影響を及ぼすため、検査中は通話を控えるべきです。
また、通話の音声が混じることで検査用の音を正確に聞き取ることが難しくなります。
そうなると、聴力検査を受ける受検者の本来の聴力を正しく評価できません。
不適切な結果
聴力検査は、できる限り静かな環境で実施されるべきです。
検査室の近くで携帯電話やスマートフォンの通話をすると、聴力検査の結果が通話の音声によって意図せずに歪められてしまう可能性があります。
例えば本来は問題がない音を聞き取れているのに、周囲の通話音がノイズとなって聞こえにくくなり検査官に聞き取りにくいと誤判断されるリスクが大きいです。
とくに語音聴力検査は人の声を聞き取り・聞き分けを測定するため、通話の声が検査で測定したい本来の音を妨げることになり正しく聴力を判断できなくなる恐れがあります。
また一般にはあまり知られていませんが、聴力検査には会話法聴力検査という検査方法もあります。
会話のやりとりがそのまま聴力の評価となるため、不適切な周囲の音声は検査結果に影響を与える要因となるのです。
患者の不信感
耳鼻咽喉科で行われる聴力検査は、純音聴力検査といって正確な聴力の状態を知るための精密検査です。
周囲の雑音が多い環境で検査を受けると、受検者は自分の聴力に自信がもてなくなったり検査結果を信用できなくなったりする恐れがあります。
通話による雑音は正確な聴力レベルを測定することを妨げ、検査結果の信頼性を損なう可能性がありえるのです。
受検者が聴力検査に集中できるよう、通話は指定された場所で行いましょう。
耳鼻咽喉科で実施される純音聴力検査については、下記記事をご参考ください。

補聴器の近くで通話することの影響
結論からいうと補聴器を装用している人の近くで、携帯電話やスマートフォンでの通話をすることは実は好ましくありません。
病院やクリニックだけでなく、商業施設での待合スペースやカフェ・レストランでの隣席などどんな場所でも同じです。
電波の干渉により生じる雑音
実は補聴器の近くで携帯電話などの通話をされると、補聴器を装用している人の耳内にジーという雑音やハウリングが発生するのです。
これは携帯電話から出ている電波を補聴器の回路が拾ってしまうために起こります。
補聴器に直接影響を与えることで、雑音やノイズとして不快感を招くのです。
ちなみに補聴器自体から発せられる電磁波は非常に微弱であるため、健康に影響を与えることはありません。
筆者の体験
先月、病院へ定期検査を受けにいった時のことです。
聴力検査が終わって担当医のいる診療室の前で待機していたところ、隣に座っていた年配の男性がスマートフォンを取り出して通話し始めました。
補聴器の近くで携帯電話の通話をされると、雑音やハウリングが発生します。
これは携帯電話から発生している電波を補聴器の回路が拾ってしまうためです。
目の前の壁に通話禁止の張り紙があるのに注意しようと思うものの逆上されても困るため、雑音が流れる不快感にも耐えるしかありません。
そこへ看護婦さんが険しい表情をしながら通りかかり、通話をしていた男性を外へ誘導してくれました。
その男性はもしかしたら患者さんではなく取引先の人なのかもしれませんが、そもそも病院内での通話は禁止されていますので注意してほしいものです。
病院内での通話が禁止されている理由
耳鼻咽喉科に限らず、どの病院やクリニックでも携帯電話やスマートフォンの通話は基本的に禁止されています。
その主な理由は、以下の3つです。
医療機器への干渉
携帯電話などによる通話時の電磁波は、実はペースメーカーや人工呼吸器などの微弱な電気信号を扱う医療機器に影響を与え誤作動や事故につながる可能性があります。
そのため精密な医療機器が使用されている診察室や検査室では、携帯電話やスマートフォンの電源を切るなどの指示に従うことが重要です。
補聴器も実は医療機器に分類されており、誤作動は起きないものの電磁波同士がぶつかることによる雑音やハウリングが生じます。
近年では医療機器やスマートフォンの性能向上などにより院内でも使用可能な場所が増えていますが、ICUなどの高度な治療室や医療機器の近くでは使用を控えるなど配慮しましょう。
補聴器が医療機器であることについては、下記記事をご参考ください。

周囲の人への迷惑
待合室や病室など多くの人がいる場所での通話は、呼び出し音や通話の話し声が周囲の患者の静養を妨げる原因になります。
心臓ペースメーカーを利用している人はもちろん、前述の通り補聴器を装用している人の近くで通話をすると雑音やハウリングという不快感を与えかねないのです。
他の患者への迷惑とならないように、多くの病院では通話を全面的に禁止したり一部エリアでの通話を制限したりしています。
病院ごとにルールが定められているため、指示に従って通話してください。
病院での通話に関する指針
厚生労働省の指針に基づき、病院は個別に携帯電話の使用に関するルールを定め掲示することが求められています。
病室やロビーなど一部エリアでの通話が可能な場合でも、手術室やICUなどでは電源を切る、または機内モードにすることが推奨されています。
やむを得ず通話を行う場合はマナーモードに切り替え、指定された通話エリアで小声で話し短時間にするなどマナーを守ることが大切です。
2014年の電波環境協議会の指針見直しやその後の調査により、多くの携帯電話は医療機器から一定の距離を保てば影響が少ないことがわかってきました。
しかし医療機器の種類やメーカーによって推奨される離隔距離は異なるため、個別のルール遵守が重要です。
参考:医療機関における携帯電話等の使用に関する指針(厚生労働省)
病院内や補聴器近くでの通話まとめ
普段通りの生活をしていれば、雑音は誰でも感じるものです。
商業施設などの待合スペースやレストランでの食事時など大勢が集まる場所では誰が近くの席にくるかわからないため、携帯電話やスマートフォンでの通話をすることを咎めるつもりはありません。
ただし、検査の結果に最も影響する病院やクリニック内での通話は止めてほしいものです。
とくに精密な医療機器を設置している病院では誤作動や事故につながりかねません。
もし院内で電話がかかってきたり緊急時の対応が必要だったりした時は、屋外に出てから通話するなど周囲への配慮を心がけてあげてください。
以下の記事では、聴力検査の種類や目的について紹介しています。
学校や企業の健康診断で行われる選別聴力検査と耳鼻咽喉科での純音聴力検査の違いについて解説していますので併せてお読みください。

また、難聴や聴覚障害のある人に実施される語音聴力検査の測定についても下記記事で説明していますのでご参考ください。

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