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難聴や聴覚障害のある人が抱える問題と改善策は?筆者が普段から工夫していること

難聴や聴覚障害のある人が抱える問題と改善策は?筆者が普段から工夫していること

難聴や聴覚障害には聞こえないことのほかに、コミュニケーションがとりにくい、音声による情報が伝わらないなどといった不便さがあります。

また聴力の程度や症状など個人差があるため、1人ひとりが抱える問題や悩みはさまざまです。

ではどういった場面で困難にぶつかるのか、どんな事態を苦手としているのか。

難聴の人や聴覚障害のある人が、さまざまな場面で抱える問題について紹介します。

そしてその問題をどうやって改善したらいいのか、難聴の人と周囲の人における工夫や改善・留意点も解説しますので参考にしてください。

目次

聴覚障害のある人が抱える主な問題5つ

聴覚障害のある人が私生活や仕事で抱える問題や悩みは、主に以下の5つです。

  • 音声での意思疎通が難しい
  • 場の空気を読むことが苦手
  • 複数人での会話についていけない
  • 自分の意思を伝えることが難しい
  • 緊急時の対処に困ることがある
  • その他、周囲の人による誤解

音声での意思疎通が難しい

耳で聞くことが困難な難聴や聴覚障害のある人は、学校・職場での会話や電話での通話など音声を介したコミュニケーションが難しいことがあります。

そのため、音声でのやりとりが多い職場では、意思疎通がうまくいかないことも多いです。

意思疎通や情報の把握が難しいことで難聴や聴覚障害がある人のストレスや疲れが溜まりやすくなり、体調不良や仕事に対する意欲の減退につながることもあります。

場の空気を読むことが苦手

難聴や聴覚障害のある人は、周囲の人が発する言葉では表れない感情などに気づくのが苦手なことが多いです。

そもそも音を聞くことが困難なため、例えば以下のような場面でその人の感情や場の空気に気づきにくいこともあります。

  • パソコンのキーボードを叩く音などが乱暴だと感じてその人の機嫌が悪いとわかる
  • 物を雑に置いた時の物音でその人の感情に気づく
  • 別の人に対して声を荒げていることでその人の怒りが伝わる

複数人での会話についていけない

聴覚障害がある人は、1対1の会話は音が聞き取りやすく相手の口元の動きを見ることで会話の内容が理解しやすいです。

一方、複数の人が同時に話す場面では声が混ざって聞き取りにくくなり、会話の内容が理解しにくかったり会話のテンポについていけなかったりすることがあります。

例えば以下のような場面で、会話についていくことができなくなることも多いです。

  • 学校の授業で班やグループに分かれて話し合う
  • 休み時間にクラスメートや他のクラスの人と談話する
  • 職場で数人が集まって会議が行われる
  • 同僚たちと雑談したり飲みにいったりする
  • 家族や親戚が集まって団らんする

その結果、学業や業務に支障が出たり気を遣って疲れてしまったりすることもあるでしょう。

自分の意思を伝えることが難しい

難聴や聴覚障害のある人は、発話など声を出すことが難しかったり苦手だったりすることがあります。

またコミュニケーション手段が人によって異なるため、伝えたいことがあってもうまく相手に伝えられずにもどかしい思いをすることもあるでしょう。

そのため学業や仕事においても、自分の意思を伝えることが難しいと作業がスムーズにいかないことがあるかもしれません。

例えば学校の授業以外で参加する委員活動や職場でのキャリアアップ・昇格を目指している人は、場合によって積極的な発言が困難なために活動経験やキャリア形成で不利になることもあります。

意思を伝えることが困難なだけでなく音声によって伝達されるキャリアに関する情報を得ることも難しく、あらゆるチャンスに気づくことが困難な場合もありえるのです。

緊急時の対処に困ることがある

通学・通勤で電車やバスなどの交通機関を使う時、事故や遅延が起きた場合に音声によるアナウンスが聞こえづらく状況把握や職場への連絡に困ることがあります。

また学校や職場で警報アラームが鳴っても聞こえなかったり音声による館内放送で状況が伝えられても事態の把握が困難だったりするなど、非常時に対応が難しい可能性も大きいです。

その他、周囲の人による誤解

他にも難聴や聴覚障害のある人は、耳が不自由であることが見た目ではわかりにくいことから誤解が生じることも多いです。

とくに環境や状況によって聞こえ方に変化が生じる難聴の場合は、以下のように誤解されることがあるかもしれません。

  • 視界にない方向から話しかけられても気づかず無視している
  • 大きな声で話せば聞こえる
  • 補聴器があるから健聴者と同じように会話ができる
  • 普通に話せるから聞こえている
  • 難聴者全員に手話ができる

このように普段から難聴者と接する機会があまりない人、とくに健聴者にとっては情報不足も相まって誤解されることがあります。

難聴の人や聴覚障害者に対する誤解については、別記事で紹介します。

難聴の人が抱える問題への工夫や改善策

前述の問題や困りごとに対して、難聴の人や聴覚障害者はさまざまな工夫や改善策を施しています。

  • 医療機関での診察・治療
  • コミュニケーションの工夫
  • 聞こえを補助するツールの活用
  • 最適なリフレッシュ方法を知る

医療機関での診察・治療

難聴の人に限りませんが医療機関での診察や治療を受けることは、学業や仕事を続けるためにも大切なことです。

難聴や聴力の低下を感じ始めたら、耳鼻咽喉科の病院やクリニックへ原因や治療の可否などを把握するためにも診察を受けてください。

すでに医療機関へ定期的に通院している人も含め、継続して受診することで症状の変化に気づき困難なことの相談やその対処がしやすくなります。

学業や仕事での疲労やストレスが治療に影響することももちろんあります。

いつもと聞こえ方が違う・耳鳴りやめまいがするなど、自分で変化や違和感があったら主治医へ早めに相談することが重要です。

コミュニケーションの工夫

学業や仕事をする上で欠かせないコミュニケーションのとり方として、以下を参考にしてください。

  • 受け身になりすぎないよう適度に自分の意思を伝える
  • 攻撃的にならないように自分の意思を伝える
  • 聞き取れなかったことはもう1度聞き返したり確認したりする
  • 何度聞いても聞き取れなかったら筆談をお願いする
  • 社内メールやチャットツールなどテキストによるコミュニケーションをとる
  • 基本的な報告・連絡・相談などを適切に行う

自分も相手もとりやすいコミュニケーション手段を、学校や職場の人に伝えることも大切です。

また口元の動きがよく見えないのでマスクを外して話してほしい、1人ずつ話してもらえると聞き取りやすいなど聞こえの状態を具体的に伝えましょう。

聞こえを補助するツールの活用

前述のコミュニケーション手段にも通じますが、学校や職場にメモ用紙やデジタル端末など文字や絵を書ける補助ツールを用意しておくと安心です。

近年ではスマ-トフォンやタブレット端末などで、音声を文字にする文字起こしのアプリやツールなども登場しています。

音声による情報を視覚的に変えて伝えてくれる聞こえの補助ツールは、情報の理解や意思疎通をサポートしてくれるでしょう。

また難聴が重い人は、医療機器である補聴器の利用について主治医と相談してみることがおすすめです。

コミュニケーション手段における補助ツールについては、別記事で紹介します。

最適なリフレッシュ方法を知る

聞こえ方がいつもと違ったり聴力の低下を感じたりした時は、疲労やストレスが原因であることも多いです。

気持ちよく学業や仕事を行うために、以下の例を参考に自分にとって最適なリフレッシュ方法を探してみてください。

健聴者でも同じことですが、日常生活での疲労回復やストレス軽減、リフレッシュを心がけましょう。

  • ハイキングやヨガなど軽い運動やストレッチをする
  • 生活の中にリラックスできる時間を取り入れる
  • 就寝と起床の時間を一定にして生活リズムを整える
  • 有給休暇を活用し休みをとって旅行へいく
  • 自然に囲まれた観光スポットを散策

筆者が普段の生活をする上で生じる問題や困りごとに対して、工夫していることや改善策を後述していますので参考にしてください。

学校や職場など周囲の配慮や協力

前述の通り難聴の人や聴覚障害者に生じる問題は、自身で工夫したり改善したりすることが重要です。

しかし聴力の程度や症状は1人ひとりによって異なるため、状況によっては学校や職場など周囲の人による配慮や協力も欠かせないことがあります。

難聴の人や聴覚障害者によくある問題に対して、どんな配慮や協力をしたらいいのか一例を紹介しますので参考にしてください。

  • 文字変換アプリやツールの導入
  • 会話などやりとりでの留意点
  • 緊急時の柔軟な対応

文字変換アプリやツールの導入

学校や職場でスマートフォンやタブレットなど業務用のデジタル端末を活用する機会が多い場合、音声を文字に変換するアプリや文字起こしツールなどの導入を検討することも1つの手段です。

会話などやりとりでの留意点

難聴の人や聴覚障害者の聞こえ方は人それぞれで、健聴者の聞こえとはまったく異なります。

まずは難聴の人に対して、聞こえの状態や最適なコミュニケーション手段を確認してください。

また重度の難聴や聴覚障害者は、相手の口元の動きを見て情報を得ることが多いです。

そのためマスクを装着している人は外して話す、複数人が一斉に話すのではなく1人ずつ話すなど、ちょっとした配慮をすることで意思疎通がよりスムーズになります。

コミュニケーション手段については、別記事で紹介します。

緊急時の柔軟な対応

通学・通勤で電車やバスなどの交通機関が止まったり事故により車での移動が困難になったりすると、学校や職場への連絡が必要です。

そんな時に学校の担任や職場の上司などへ連絡する必要がありますが、難聴の人や聴覚障害者は音声による通話ができません。

そのため、緊急時の連絡をメールで行うなどといった配慮や業務の調整を柔軟に対応することが重要です。

他にも学ぶ・働く上での困りごとや不安を少なくするためには、具体的にどのような配慮が必要かを職場と話し合い、業務内容や働く環境の調整などを行う必要があります。

障害者差別解消法について

障害者差別解消法では、障害を理由とする差別を禁止する対策を定めています。

障害者差別解消法とは

障害者差別解消法は、障害による差別を解消し誰もが分け隔てなく共生する社会を実現することを目的に、2013年(平成25年)6月に制定された法律です。

つまり全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを義務づけています。

障害者差別解消法で定められている2つの柱として、「不当な差別的取り扱い」を禁止し「合理的配慮の提供」を求めており、障害のある人もない人も共に暮らせる社会を目指しています。

合理的配慮の提供については後述しますが、不当な差別的取扱いの禁止というのは国・都道府県・市区町村などの行政機関や企業・店舗などの事業者などが、障害のある人に対して正当な理由なく障害を理由として差別することを禁止していることが主旨です。

合理的配慮の提供を義務化

障害者差別解消法では、2024年(令和6年)4月の改正により国・地方公共団体だけでなく企業に対しても合理的配慮を提供することを義務づけています。

合理的配慮というのは、働く環境の調整を通して社会にある障害を取り除き、より働きやすく1人ひとりが能力を発揮できるようサポートをすることです。

障害のある人が障害のない人と平等な労働機会を得られるよう、状況に応じた困りごとを改善する目的で個別の対応や支援を行います。

ただし相談した内容がすべて採用されるとは限りません。

お互いにすり合わせをしながら合理的配慮の内容を決めていきます。

聴覚障害がある人への適切な配慮は程度や症状などによって1人ひとり異なりますので、以下の例を参考にしてください。

また就業の基本方針やルールによっても違いがあるため、参考程度にしてください。

  • コミュニケーションツールの使用を可能にする
  • コミュニケーション方法の希望を伝え実施する
  • オンライン会議やビデオ通話などでは字幕表示を取り入れる
  • 会議や打ち合わせの内容を文字にして共有する(議事録の作成)
  • 緊急時の警報などを視覚的なアラームでわかりやすくする

参考:障害者差別解消法リーフレット(内閣府)

筆者が普段から工夫していること

前述のように難聴の人や聴覚障害者が抱える問題、問題解決のための工夫や改善策は人それぞれです。

難聴の度合いや聞こえ方のほかその人がもっている性格もあるため、筆者が日常を過ごす上で工夫していることを1つの参考例として紹介します。

  • 聞こえの変化について
  • コミュニケーションについて
  • 時には休むことも必要

聞こえの変化について

ある日いつもと聞こえが違うと思ったなら、まず休むことを優先にしています。

人とのコミュニケーションには相手の口元に集中するなど、自分が思う以上に神経を使っているためです。

とくに補聴器をつけていると、屋外や室内で生じる雑音や騒音といった不要な音声まで拾うためうるさく感じます。

また年に数回、定期的に聴力検査と主治医の診察を受けています。

耳鼻咽喉科の病院やクリニックへ、原因や治療の可否などを把握するためにも診察を受けるようにしましょう。

コミュニケーションについて

コミュニケーションにおいて何度聞いても聞き取れない時は、用紙とペンを渡して筆談をお願いしています。

同じ難聴の人は共感できると思いますが、相手の発する内容を聞き取ろうとするのに想像以上に労力を消費します。

いくつかの単語から意図を類推するため、耳からの音声や口元の動きから読み取った言葉を脳で処理しているのです。

例えば筆者は相手から読み取れた単語や述語を、脳内でひらがなから漢字に変換して会話の内容や意図を汲み取ります。

それでもコミュニケーションがとれない時に、もういいと会話を打ち切られることもありますが気にする必要はありません。

会話を途中で止めるということは、たいした用件がないということです。

相手によっては自らスマートフォンのメモアプリを取り出し、用件を文字で打ってくれる人もいますので気持ちを切り替えることが重要です。

参考にスターバックスコーヒーでは、聴覚障害者に向けたサポートに力を入れているため手話の対応もしてくれます。

時には休むことも必要

繰り返しになりますが、難聴の人や聴覚障害者は人との会話やコミュニケーションにおいて自分自身が思うよりも神経を使っています。

直接耳で聞き取ろうとする力、相手の口元の動きを見て言葉を読み取ろうとする力、脳内で会話の内容や主旨を整理する力です。

1対1での会話なら相手1人に集中するだけで済みますが、複数人いる中での会話では誰が話しているのか追いつきません。

また相手の話す内容が聞き取れなかったら、聞き返したり筆談などをお願いしたりする勇気も要ります。

それでも聞き取れなかったり意思疎通が図れなかったりしても、過ぎたことは気にしません。

さらに補聴器をつけている人は、周りの物音や雑音までを拾ってしまうためよけいな音声まで受け取っています。

常に音や声に囲まれている中で、いくら難聴であっても音は常に振動として伝わっているのです。

そのため耳鳴りがしたり疲れが溜まったりしている時は、休むことを促しているともいえます。

休みには旅やトレイル、写真撮影を趣味としていることもあり大きな公園や遠くの観光スポットを巡ることが多いです。

個人的見解ですが、苦手とする「聞く」ことよりも得意とする「見る」ことに重点を置いているため広大な自然を観るほうがよりリフレッシュになるでしょう。

難聴の人が抱える問題と改善策まとめ

社会生活を送る上で、難聴の人や聴覚障害者が直面する問題や悩み。

それぞれに事情があって難聴や失聴、聴覚障害を抱えることになった苦労は計り知れないもので、あらゆる困難や苦手に対して向き合うには体力気力のほかに勇気も必要です。

学業や仕事をする上でぶち当たる問題や悩みを自分なりに工夫し、自分ではどうすることもできない時には周囲の人に相談しましょう。

周囲の人は難聴の人がどういった場面で困難にぶつかるのか、どんな事態を苦手としているのか少しずつ理解しながら適した対応をしてあげてください。

聞き取れない・聞こえないことはコミュニケーションにおいて不便かつ不利な面が多いですが、逆によけいな雑音や不要な情報が入らないよさもあります。

悪いことばかりではない、良いこともあることをプラスに捉えながら。

そして困難なことに立ち向かって生きる自分を労り、時には身体を休めつつリフレッシュしながら過ごしていきましょう。

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