
高齢者や障害者などをサポートする職業として、サービス介助士という資格があるのをご存知でしょうか。
年齢や障害の有無にかかわらず誰もが参加できるように、その人やその場に必要なことをお手伝いできる人がサービス介助士です。
この記事ではサービス介助士とは何か、資格を取得することでどんなことができるのか説明します。
介護の現場だけでなくあらゆる業界でも導入されているサービス介助士を知ることで、仕事の幅を広げるなど将来に向けた人生計画のご参考になれば幸いです。
サービス介助士とは
サービス介助士は、高齢の人や障害がある人などに対して「おもてなしの心をもって安全な介助」を提供できることを示す資格です。
サービス介助士はどんな人?
サービス介助士というのは、高齢者や障害者を含めた多様な人が暮らす社会で年齢や障害の有無にかかわらず誰もが参加できるように、必要なことをその人・その場にあったやり方でお手伝いができる人を指します。
ケアをフィットする意味で「ケアフィッター」とも呼ばれ、介護職だけでなく観光や小売、運輸などさまざまなサービス業で活用されている職業です。
単に技術を提供するだけでなく相手の立場に立って適切なサポートをすることで、より良いサービスを提供することを目指しています。
参考:サービス介助士(公益財団法人日本ケアフィット共育機構)
サービス介助士の資格取得者24万人突破
サービス介助士は、公益財団法人日本ケアフィット共育機構が2000年より認定・運営している比較的新しい資格です。
2000年に介護保険法が施行された後、バリアフリー法の改正や障害者差別解消法の施行などの法整備が進められました。
介助ボランティアとしての活動も推進されつつあり、近年では東京オリンピック・パラリンピックなどをきっかけにサービス介助士の学びはより重要になってきています。
また新型コロナウイルス感染症拡大により講座の一部をオンライン化するなど学びやすい内容に改訂するなど、サービス介助士のさらなる普及を目指しているのです。
サービス介助士の資格取得者数は右肩上がりで増加し、2024年4月に24万人を突破したことが発表されました。
障害者差別解消法については、下記記事をご参考ください。

日本ケアフィット共育機構について
公益財団法人日本ケアフィット共育機構(以下、ケアフィット)は、サービス介助士・防災介助士・認知症介助士などの普及・育成を行う公益財団法人です。
高齢者や障害のある人を含めた多様な人の社会参加ができるようにお手伝いするサービス介助士などの資格を認定しています。
また超高齢社会の到来を踏まえて「誰もが誰かのために、共に生きる社会」をコンセプトに、あらゆる人々の活用を通じたコミュニティづくりや共生社会の実現に向けた情報発信も行っています。
近年ではブラインドサッカーや車いすバスケなどのパラスポーツ大会において、年齢や障害の有無にかかわらずスポーツの感動を共有できるよう介助ボランティアとしての活動を推進しています。
公式サイト:公益財団法人日本ケアフィット共育機構
サービス介助士の仕事について

介護・福祉だけでなくサービス業のさまざまな現場で、サービス介助士の資格取得が広がっています。
ケアフィットの発表資料によると、2000年より認定・運営を開始したサービス介助士の資格取得者数は2024年4月に24万人を突破しました。
サービス介助士の資格取得でできること
そんなサービス介助士の資格を取得することでできることは、主に以下の通りです。
- 車いすを利用する人の交通機関での介助
- 身体を動かしにくい人のお手伝い
- 視覚に障害のある人への手引き
- 聴覚に障害のある人への接客
サービス介助士は、高齢者の疑似体験をはじめ車いすの操作や視覚障害者の手引き、障害の社会モデルへの理解、障害当事者との対話など実技教習を通して体系的に学ぶ資格です。
ケアフィットは、サービス介助士資格の普及を通して誰もが心豊かに暮らせる共生社会の実現を目指しています。
サービス介助士資格取得者の業種別割合
サービス介助士の資格を取得した人は、介護職以外でどんな職業に就いているのでしょうか。
サービス介助士資格取得者が活躍している業種別割合は、以下の通りです。
| 業種 | サービス介助士の割合 |
|---|---|
| 交通(鉄道・航空・バス・タクシー) | 46.9% |
| 小売・流通 | 24.5% |
| 通信 | 6.1% |
| 金融・証券・保険 | 6.0% |
| 観光・レジャー・宿泊 | 4.7% |
| 自動車の製造・販売 | 4.3% |
| 不動産の管理・警備 | 1.2% |
| その他 | 6.3% |
サービス介助士は、高齢者や障害者を含めた多様な人とのコミュニケーションを学べることから小売業や交通事業者を中心に普及しています。
主な導入企業はJR東日本やJR西日本、みずほ銀行、イオングループ、ANAなど、さまざまジャンルの企業約1,000社です。
参考としてイオングループでは、2006年より従業員のサービス介助士への資格取得に取り組んでおり2024年2月時点で資格所有者は1万人以上います。
サービス介助士マーク

駅や空港、デパートなどで色や形の違う5枚のハートを組み合わせた「安心のサービス介助士マーク」をつけた職員が、高齢者や障害がある人の手伝いをしている姿を見かけたことはありませんか。
おもてなしと介助の資格をもつサービス介助士は、交通・流通・金融・飲食などのサービス業をはじめとするさまざまな分野で活躍しています。
また職場だけでなく、ボランティアや普段の生活の中でも学んだことを活かしてさまざまな人への必要なお手伝いをしている人も多いです。
サービス介助士への関心はSNSでも
TwitterXなどのSNSではサービス介助士がどれだけ関心をもたれているか、資格がいかに役に立っているかさまざまな投稿を多く見かけます。
サービス介助士を目指して学習している人や合格した人、資格を所有している人など一例を紹介します。
サービス介助士のメリット
前述の業種別割合グラフ通り、サービス介助士として活躍できる分野は介護・福祉業界だけではありません。
接客業やサービス業全般で活かせる高齢者・障害者への適切な対応スキルが身につくことが大きなメリットです。
これにより利用者との信頼関係が築きやすくなり、キャリアアップにもつながります。
実務面でのメリット
サービス介助士の実務面におけるメリットは、主に以下の通りです。
| 質の高いサービス提供 | 高齢者や障害者1人ひとりの状況に合わせた的確なサポートができるようになる |
| ホスピタリティの向上 | 「おもてなしの心」を学び相手が安心して楽しく過ごせる環境を提供できるようになる |
| 実技によるスキルの定着 | 座学だけでなく疑似体験などの実技を通じて現場で活かせるスキルが身につく |
| 日常生活での活用 | 家族の介護や地域のボランティア活動など私生活でも学んだ知識やスキルを活かせる |
キャリア面でのメリット
サービス介助士のキャリア面におけるメリットは、主に以下の通りです。
| 就職・転職活動で有利 | 資格を履歴書に記載することで多様な利用者への対応力をアピールでき採用の評価向上につながる |
| 職場での活躍の場が広がる | 高齢者や障害のある顧客をサポートする機会が増え、職場での存在価値が高まる |
| キャリアアップの機会が増える | 職場での研修講師や新人指導を任されるなど管理職への昇進にも有利になる場合がある |
| 幅広い業界で評価される | 介護業界に限らず公共交通機関や小売、ホテル、観光など多くのサービス業で役立つ |
企業のSDGs推進に寄与
サービス介助士の資格取得は、企業のSDGs推進に寄与します。
SDGsというのは、「持続可能な開発目標」という意味です。
17のゴール(目標)と169のターゲット(具体目標)で構成され、2030年までの国際目標として定められています。
スローガンに掲げられている通り、「誰一人取り残さない社会」の実現を目指すために企業による取り組みも増えています。
企業としての発展とともにすべての人がアクセスしやすい社会に向けた取り組みに、サービス介助士資格取得の推進が寄与します。
サービス介助士の資格取得でSDGsにおける17のゴールに該当する項目は、以下の通りです。
- (1)貧困をなくそう
- (3)すべての人に健康と福祉を
- (4)質の高い教育をみんなに
- (8)働きがいも経済成長も
- (10)人や国の不平等をなくそう
- (11)住み続けられるまちづくりを
- (17)パートナーシップで目標を達成しよう
日本ケアフィット共育機構では、「誰もが誰かのために、共に生きる社会」を実現するためにサービス介助士の普及を進めています。
SDGsについては、別記事で紹介します。
サービス介助士に似た資格との違い
サービス介助士に似た資格として、介護福祉士やヘルパーなどがあります。
介護に携わる職業資格にはどんな特徴があり、どのような違いがあるのでしょうか。
サービス介助士と介護福祉士の違い
サービス介助士は、公益財団法人日本ケアフィット共育機構が認定する資格です。
主に「おもてなしの心」と「安全な介助技術」を学ぶ民間資格であり、国家資格ではありません。
誰でも受験可能で資格を取得すると、介護職だけでなく接客業など幅広い業界で活かすことが可能です。
一方で介護福祉士は、介護福祉法に基づいた国家資格です。
高度な介護技術や知識が求められ、主に介護施設での就職に有利になります。
サービス介助士とヘルパーの違い
サービス介助士は、介護現場だけでなくさまざまなサービス分野での介助と接遇スキルが中心です。
一方でヘルパーは、高齢者や障害者の在宅生活を福祉の視点から支援するための専門知識・スキルが求められます。
サービス介助士・介護福祉士・ヘルパーの違い比較
サービス介助士・介護福祉士・ヘルパーの違いを比較表にしましたので参考にしてください。
| 項目 | サービス介助士 | 介護福祉士 | ヘルパー |
|---|---|---|---|
| 資格レベル | 民間資格 | 国家資格 | 介護職員初任者研修 介護福祉士実務者研修 介護福祉士 |
| 目的・趣旨 | おもてなしの心と安全な介助技術 | 高度な介護技術や知識 | 高齢者や障害者への福祉支援 |
| 仕事分野 | 介護・観光・小売・運輸など | 介護施設 | 高齢者や障害者 |
| 認定機関 | 公益財団法人日本ケアフィット共育機構 | 介護福祉法 | 都道府県が指定する施設 |
サービス介助士が活躍できる場まとめ
高齢者や障害者をはじめとする人の多様性を受け入れ、違いを尊重し相手の立場になって行動するサービス介助士。
2000年よりスタートした比較的新しい資格ですが、2024年時点で資格取得者が24万人を突破しています。
介護や福祉関連だけでなく、鉄道やバスといった交通や小売、観光などサービス介助士が活躍できる場は広がっているのです。
すでに接客などのサービス業に携わっている人でもサービス介助士の資格を取得することで仕事の幅が広がる可能性もあります。
また仕事から離れても、将来的にはボランティアなど普段の生活でも介助が必要な人へのサポートに活かすことが可能です。
もし、あなたが高齢者や障害者など困っている人の手助けをするおもてなしの心を大切にしているなら。
サービス介助士を学び、将来のために資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
以下の記事では、サービス介助士の資格取得に向けた条件や手順を紹介しています。
5種類あるサービス介助士の学び方についても解説していますので併せてお読みください。

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