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聴覚だけではない障害者のシンボルマークとは?身体の不自由な人に配慮した標識・マークの役割

聴覚だけではない障害者のシンボルマークとは?身体の不自由な人に配慮した標識・マークの役割

見えづらい、聞こえづらい、補助してほしい。

目が不自由な人や歩行が困難な人をはじめ、身体内部など外見からはわかりづらい障害を抱えている人もいます。

そんな人のために作られたシンボルマークがあるのをご存知でしょうか。

人が座っているような形をしたマークは、障害者が利用できる建物や施設であることを示す世界共通のシンボルマークです。

イヌの顔をモチーフにしたほじょ犬マークは、盲導犬や聴導犬を意味し援助が必要な場合があることを表しています。

この記事では、障害者共通の標識や聴覚障害を除く他の障害者向けの標識・マークを紹介します。

本人の活用情報としてだけでなく、家族や友人など周囲の人たちの留意事項としてもご参考になれば幸いです。

耳が不自由な人のための標識・マークについては、別記事で紹介します。

目次

障害者に関する標識・マークの一例

難聴や聴覚障害のある人に限らず、すべての障害者を対象とした標識やマークがあるのをご存知でしょうか。

世界共通のシンボルマークもあり、聴覚に障害があるだけでなく他にも身体に障害を抱えている人に向けた標識もあります。

標識・マークの名称関連障害概要
障害者のための国際シンボルマークすべての障害障害のある人が利用できる建物や施設を示す世界共通マーク
盲人のための国際シンボルマーク視覚障害目が不自由な視覚障害者や目の見えない人のバリアフリーを考慮した世界共通のマーク
ほじょ犬マーク視覚障害・聴覚障害・肢体不自由盲導犬・介助犬・聴導犬といった身体障害者補助犬同伴の啓発のためのマーク
ハートプラスマーク内部障害内部に障害のある人を示すマーク
ヘルプマーク内部障害・難病・妊婦など外見からわかりづらい内部の障害や難病、妊娠初期の人のために作られたJIS規格マーク
身体障害者標識肢体不自由道路交通法に基づき肢体に不自由のある人が運転する自動車に表示するマーク
障害者雇用支援マークすべての障害障害者の就労支援を認めた企業・団体に付与する認証マーク
聴覚障害者に関する標識・マーク聴覚障害聴覚障害者に関する標識・マーク(5種類)

次項からは、標識・マークそれぞれの目的や注意点、デザインなどについて解説していきます。

障害者のための国際シンボルマーク

障害者のための国際シンボルマークは障害のある人が利用できる建物や施設、交通機関などであることを表す世界共通のシンボルマーク

障害者のための国際シンボルマークは、障害のある人が利用できる建物や施設、交通機関などであることを明確に表す世界共通のシンボルマークです。

障害者のための国際シンボルマークにおける目的

障害をもつ人々が住みやすい町づくりを推進することを目的に、1969年に国際リハビリテーション協会(RI)により導入されました。

タクシーや車などの送迎で一時停車する駅前ロータリーのほか、商業施設などで障害者専用駐車場として見られることが多いです。

障害のある人が車に乗車していることを周囲に知らせるための表示にも使われます。

障害者のための国際シンボルマークのデザイン・注意点

障害者のための国際シンボルマークは車椅子に乗った人を連想するデザインですが、すべての障害者を対象としたものです。

車いすを利用する障害者を限定するものではないため、障害のある人全員が利用する施設や機関であるという意識をもつことが重要です。

障害者のための国際シンボルマークが設置されている施設や機関付近にきたら、段差に困っていないか行き先に困っていないかなど気にかけてあげるとよいでしょう。

障害者のための国際シンボルマークの設置・入手方法

障害者のための国際シンボルマークを使用・設置するには、国・地方自治体の基準を満たす必要があります。

入手方法は、郵便局の払込取扱票にて氏名・住所を記載した郵便振替で送金すれば10日前後に送付してくれます。

価格は種類やサイズにより300円から4,300円まであり、振替手数料が別途必要です。

Yahoo!ショッピングに「リハ協ストア」があり、インターネットによる購入も可能でクレジットカードやコンビニ決済ができます。

詳しくは、国際リハビリテーション協会の公式サイトで確認してください。

参考:国際シンボルマーク(車いすマーク)について

参考・所管先:公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

盲人のための国際シンボルマーク

盲人のための国際シンボルマークは目の不自由な人のバリアフリーを考慮した世界共通のマーク

盲人のための国際シンボルマークは、目の不自由な人のバリアフリーを考慮した世界共通のマークです。

1984年に開催された世界盲人会連合で制定されました。

視覚障害者の安全やバリアフリーを考慮し建物や設備、機器につけられています。

主に街中の信号機や音声案内装置、点字を利用した案内標識、国際点字郵便物、書籍などで身近に見られることが多いです。

盲人のための国際シンボルマークは、青地に白で視覚障害者が右手に白杖を持って歩く姿をデザインしています。

盲人のための国際シンボルマークを見かけた場合は、視覚障害者の利用への配慮について理解と協力が必要です。

参考・所管先:社会福祉法人日本盲人福祉委員会

ほじょ犬マーク

ほじょ犬マークは身体障害者補助犬法の啓発のためのマーク

犬の顔をモチーフにしたほじょ犬マークは、身体障害者補助犬法の啓発のためのマークです。

身体障害者補助犬とは

身体障害者補助犬は、盲導犬・聴導犬・介助犬の総称です。

それぞれ障害のある人の目や耳、手足となって働くよう訓練されており、国が指定する法人から認定されています。

盲導犬視覚障害のある人が安全に歩行できるように誘導する補助犬
聴導犬聴覚障害のある人が安全かつ安心して生活ができるように誘導する補助犬
介助犬手や足に障害のある人の日常生活における動作をする補助犬

3種類の補助犬については、別記事で紹介します。

ほじょ犬マークの目的・役割

身体障害者補助犬法において、公共の施設や交通機関をはじめデパートやスーパー、ホテル、レストランなどの民間施設は、身体障害者補助犬を同伴する身体障害のある人を受け入れる義務があります。

電車やスーパーなどに補助犬を引き連れていることで抗議や批判を浴びせてくる人がいる話を時々聞きますが、補助犬はペットではありません。

補助犬は障害のある人をサポートするために訓練されたパートナーであり、社会のマナーもきちんと訓練されています。

衛生面でも管理されているため、補助犬を同伴することのみをもってサービスの提供を拒むことは障害者差別にあたります。

補助犬を同伴していても使用者への援助が必要な場合があるため、使用者が困っている様子を見かけたら積極的に声をかけてあげてください。

参考・所管先:厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室)

補助犬同伴可マークもある

補助犬同伴可マークは身体障害者補助犬の受け入れを促進するマーク

近年で見ることも増えている補助犬同伴可マークは、目や耳、手足の不自由な人をサポートする身体障害者補助犬の受け入れを促進するマークです。

身体障害者補助犬同伴の啓発のために各種施設や飲食店などの入口に貼ることで、一般利用者の理解を促し補助犬を同伴する利用者が安心して各施設を利用できるように訴える目的があります。

犬の絵だけでなく「補助犬同伴可」と明記することでわかりやすくなっており、ほじょ犬マークとはデザインが違うだけで目的や役割は同じです。

身体障害者補助犬法については、別記事で解説します。

ハートプラスマーク

ハートプラスマークは身体の内部に障害がある人を表すマーク

ハートプラスマークは、身体内部に障害がある人を表すマークです。

ハートプラスマークの目的・役割

心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱・直腸、小腸、肝臓、免疫機能といった身体の内部に障害がある人は外見からはわかりにくいため、さまざまな誤解を受けることがあります。

電車などの優先席に座りたい、障害者用駐車スペースに停めたい、など声を出せずに我慢している人たちの存在を視覚的に示し、理解の第一歩とするためにハートプラスマークが作られました。

ハートプラスマークは、ハート・プラスの会が全国的に普及活動を行っています。

ハートプラスマークのデザイン

ハートプラスマークは、その名前通り人体に赤いハートとプラスを組み合わせたデザインです。

人体内部の障害を意味する「ハート」マークに思いやりのこころを「プラス」する願いが込められています。

ハートプラスマークを見かけたら

ハートプラスマークをつけている人を見かけた場合は、内部障害への配慮に理解や協力が必要です。

参考・所管先:特定非営利活動法人ハート・プラスの会

ヘルプマーク

ヘルプマークは周囲の人に配慮を必要としていることを知らせることができるJIS規格のマーク

ハートとプラスを上下に並べた赤いヘルプマークは、周囲の人に配慮を必要としていることを知らせることができるJIS規格のマークです。

ヘルプマークの目的・活動

義足や人工関節を使用している人、身体内部に障害のある人や難病の人、妊娠初期の人など外見からわからなくても援助や配慮を必要としている人がいます。

そんな助けを必要とする人が周囲に知らせて援助を得やすくなるように、東京都が作りました。

ヘルプマークの配布や優先席へのステッカー設置を都営地下鉄や都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーで開始し、ゆりかもめや多摩モノレール、そして都立病院などへと拡大し実施されています。

2023年9月時点で約58万個を配布し、東京都だけでなく全ての道府県でもヘルプマークの取り組みを行っています。

参考:ヘルプマークの普及状況

ヘルプマークのデザイン、ハートプラスマークと違い

ヘルプマークは、ハートとプラスを組み合わせたデザインです。

前述のハートプラスマークと似ていますが、明確な違いがあります。

マーク名称対象所管先
ハートプラスマーク内部障害や内臓障害がある人ハート・プラスの会
ヘルプマーク援助や配慮を必要とする人東京都福祉局

ハートプラスマークは、内部に障害がある人に対して理解や協力を広げるために作られたマークです。

それに対してヘルプマークは、内部障害に限らず義足や人工関節のほか妊娠初期の人など、外見からはわからなくても援助や配慮を必要としている人も対象です。

またヘルプマークは、身体機能などにとくに基準を設けているわけではありません。

ヘルプマークを見かけたら

もしヘルプマークを身につけた人を見かけた場合は、電車やバス内で席をゆずったり困っているようであれば声をかけたりするなど思いやりの行動をとってあげてください。

外見では健康に見えても疲れやすかったりつり革に手をかけ続けるなど同じ姿勢を保つことが困難だったりする人がいます。

災害時は視覚障害者や聴覚障害者などの状況把握が難しい人、肢体が不自由な人などの自力での迅速な避難が困難な人もいるため、安全に避難するための支援をしてあげてください。

ヘルプマークが必要な人

ヘルプマークは、都営地下鉄の駅務室(一部駅を除く)、都営バスの各営業所、荒川電車営業所、日暮里・舎人ライナーの日暮里駅・西日暮里駅、ゆりかもめの新橋駅・豊洲駅、多摩モノレールの駅務室(一部駅・時間帯を除く)、東京都心身障害者福祉センター、都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院などで配布されています。

ヘルプマークが必要な人は、東京都福祉局の下記ページで確認してください。

参考・所管先:東京都福祉局(障害者施策推進部企画課社会参加推進担当)

身体障害者標識(身体障害者マーク)

身体障害者標識(身体障害者マーク)は肢体に不自由のある障害者が自動車を運転する際に表示できる標識

身体障害者標識(身体障害者マーク)は、肢体に不自由のある障害者が普通自動車を運転する際に表示できる標識です。

身体障害者標識の目的・役割

肢体不自由であることを理由に運転免許証に運転のための条件が記されており、義務ではないものの身体障害者マークをつけて運転するように努めなければならないと規定されています。

とはいえ障害が自動車の運転に影響を及ぼすリスクがある時は、身体障害者標識を表示して運転するよう努めなければなりません。

運転できる対象車種は、軽自動車を含む普通自動車で手動式・左アクセル・下肢障害によるAT限定などの設定されているようです。

なお肢体不自由な障害をもつ運転者が対象であり聴覚障害者や視覚障害者、循環器や消化器疾患などの身体内部に障害をもつ人は対象外となります。

身体障害者標識を見かけた場合の注意点

身体障害者マークをつけた車を見かけた場合は、周囲を運転する普通の健聴者が運転に注意を払う必要があります。

危険防止のためにやむを得ない場合を除き、身体障害者マークをつけている自動車に対して幅寄せや割り込みを行った運転者は道路交通法違反となり罰せられます。

身体障害者標識のデザイン

身体障害者標識(身体障害者マーク)は、円形の青地に白い四つ葉のクローバーをモチーフにしたデザインです。

クローバーマークや四つ葉マークとも呼ばれていますが、車いすを利用している人など身体障害者が運転する自動車であることを表しています。

一般公募で選ばれたものですが、四つ葉のクローバーには幸せを象徴する花言葉があります。

障害者に希望や幸福、幸運をもたらす願いを込めた意味があるとしたら最適な標識・マークですね。

同じくクローバーに似たデザインに高齢運転者標識(高齢運転者マーク)がありますが、70歳以上で身体機能低下が運転に影響を及ぼすおそれがある人に努力義務として表示を促しています。

同じ意味をもつ聴覚障害者標識

身体障害者標識とは別に、円形の緑地に黄色い蝶の形に見える聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)があります。

聴覚障害者は聴力の程度によってクラクションの音が聞こえないため、周囲を運転する普通の健聴者が運転に注意を払う必要があります。

聴覚障害者標識については、別記事で紹介します。

参考・所管先:警察庁(交通局交通企画課)

障害者雇用支援マーク

障害者雇用支援マークは障害者の就労支援を認めた企業・団体に対して付与する認証マーク

障害者雇用支援マークは、公益財団法人ソーシャルサービス協会が障害者の在宅障害者就労支援や障害者就労支援を認めた企業・団体に対して付与する認証マークです。

障害者の社会参加を理念に、障害者を雇用したい企業と自立を目指す障害者の橋渡しをする役割があります。

障害者雇用を促進している企業や障害者雇用を促進したい企業がこのマークを名刺や印刷物などにつけることで、障害者雇用の間口を広げていることのアピールにもなります。

同時に就労を希望する障害者に少しでも伝われば、障害者の就労を取り巻く環境もより整備されるでしょう。

参考・所管先:公益財団法人ソーシャルサービス協会 ITセンター

聴覚障害者に関する標識・マーク

聞こえない・聞こえづらいといった聴覚に障害をもつ人のための標識・マークは、以下の通りです。

耳マーク

耳マークは、聞こえない人や聞こえにくい人など耳が不自由であることを示すマークです。

ヒアリングループマーク

ヒアリングループマークは、補聴器や人工内耳に内蔵されている磁気誘導コイルを使って利用できる施設・機器が表示するマークです。

手話マーク

手話マークは、耳が聞こえない人や耳の不自由な人が手話での対応が必要であることを示すマークです。

筆談マーク

筆談マークは、耳や言語に不自由な人が筆談での対応を求めることを示すマークです。

聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)

聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)は、自動車免許をもっている聴覚に障害のある人が自分の車に表示させるマークです。

聴覚に障害をもつ人のための標識やマークについては、別記事で紹介します。

障害者のための標識・マークまとめ

身体や内部に障害がある人のためにつくられた標識やマーク。

以前から知っているマークもあれば、見たことはあるけど意味や目的までははっきり知らなかった人も多いのではないでしょうか。

とくに肢体不自由な人や聴覚障害のある人が運転するために表示する聴覚・身体障害者の標識は、初心者マークや高齢者マークに比べると認知度は低いです。

今回の記事では紹介しませんでしたが、白杖を掲げてSOSを示す視覚障害者のための「白杖SOSシグナル」、人工肛門・人工膀胱を造設した人を示す「オストメイトマーク」などさまざまな障害のある人や身体が不自由な人を助けるためのシンボルマークが他にもあります。

上記で紹介した代表的な障害者のための標識やマークを、公共・民間施設や街中だけでなく身につけている人や自動車を見かけたら。

ほんの少しだけ気にかけながら、もし困っていたり助けが必要だったりした時には手を差し伸べてあげてください。

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この記事を書いた人

つむぎのアバター つむぎ クリエイター

重度難聴で耳あな型補聴器を装用
聴覚障害者として身体障害者手帳3級を所有
本業・副業ともにWebを中心としたデザイン制作

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