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障害者とは?法律で定義される考え方や身体障害・知的障害・精神障害・難病における意味

障害者とは、どういう人を意味するのか。

一般的にいわれる障害者というと、障害者手帳をもっている人をイメージする人も多いでしょう。

障害者基本法によると、障害者とは身体障害、知的障害または精神障害があるため継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける人と記載されています。

障害者総合支援法では身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)とその他の心身機能の障害がある人と表記しています。

この記事では、法律で定義されている障害者の意味やそれぞれの障害における定義を解説します。

障害者手帳の意味や所有することで活用できる場面についても紹介していますので、障害者とは何かを理解するご参考になれば幸いです。

目次

障害者とは・定義

障害者は、心身の機能障害がありその障害に対する社会的障壁との相互作用により生活や社会参加に制限を受ける人です。

身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者などが含まれ、目が見えない・耳が聞こえない・知的に遅れているなどの疾病や損傷が障害の指標となっています。

しかし日本には障害のある人を取り巻く法律が多くあり、法律ごとに障害者についての定義があります。

例えば障害者基本法と障害者総合支援法による障害者の定義は、以下の通りです。

障害者基本法による障害者の定義

障害者の基本原則を定める障害者基本法の第2条では、「障害者」について以下のように定義しています。

障害者基本法において「障害者」とは、身体障害、知的障害または精神障害があるため、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける人をいいます。

参考:障害者基本法(内閣府)

障害者総合支援法による障害者の定義

障害福祉の基礎となっている障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)の第4条では、「障害者」について以下のように定義しています。

身体障害者身体障害者福祉法第4条で規定する18歳以上の身体障害者
知的障害者知的障害者福祉法でいう18歳以上の知的障害者
精神障害者精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する18歳以上の精神障害者(発達障害者支援法第2条に規定する発達障害者を含む)
難病治療方法が確立していない疾患、その他の特殊の疾患で政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度のある18歳以上の人

参考:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(厚生労働省)

世界保健機関(WHO)による障害者の定義

参考として世界保健機関(WHO)では、障害について以下のように記載されています。

障害は、人間であることの一部です。
ほぼすべての人が、人生の中で一時的にまたは持続的に障害を経験します。
現在、世界で13億人の人が大きな障害を経験していると推定されています。
これは世界の人口の16%にあたる数字です。
この数字は人口の高齢化や非感染性の疾患の増加によって現在も増えつづけています。

障害は、個人の健康に関する状態(脳性まひ、ダウン症、うつ病など)と、それを取り巻く人的・環境的要因(否定的な態度、交通機関や公共の建物のアクセシビリティ欠如、社会的支援の不足など)との相互作用に起因します。

参考:障害に関する概要(世界保健機関)

定義は医学から社会へ

障害者というと、障害者手帳をもっている人というイメージが強いでしょう。

もともとは心身の機能障害の有無で判断する医学モデルが中心でしたが、個々の機能障害だけではなく社会の制度や環境がバリアとなってその人の生活に障害をもたらしているとする社会モデルという考え方が広まりました。

その後、2006年に国連総会で採択された「障害者権利条約(障害者の権利に関する条約)」で、社会モデルの考え方が大々的に打ち出されることになります。

社会モデルは人間の生活を障害の有無だけではなく、仕事などの社会活動への参加状況、周囲の生活環境といったさまざまな視点からサポートにつなげるというものです。

障害者権利条約に署名した日本では2013年に障害者差別解消法が制定されたことに伴い、障害や環境による障壁という社会のあり方や制度によっても障害がもたらされることを示す文言が条文に盛り込まれました。

参考:障害者の権利に関する条約:全体(外務省)

参考:障害者の権利に関する条約:条文(外務省)

それぞれの障害における定義

では、障害者として定義されている身体障害者・知的障害者・精神障害者・難病それぞれにおける定義はどうなっているのでしょうか。

身体障害者の定義

身体障害者は、身体障害者福祉法(第4条)によると以下のように定義されています。

身体障害者福祉法において「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の人であり、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた人をいいます。

別表に定められている障害の種類は、以下の5つです。

(1)視覚障害
(2)聴覚又は平衡機能の障害
(3)音声機能、言語機能又はそしやく機能の障害
(4)肢体不自由
(5)内部障害

参考:身体障害者福祉法(厚生労働省)

知的障害者の定義

知的障害者福祉法によると、知的障害者の定義規定はありません。

全体的に見ると、必要な援助や保護は知的障害者の居住する市町村が行うものとあります。

知的障害はどのような障害なのか定義がないため、自治体によって支援やサービスを受ける場合に適用される基準が異なります。

あくまで参考ですが、同年齢の子どもと比べて全般的な知的機能や適応機能に明らかな欠陥が18歳未満に生じることがおおよその基準になっているようです。

参考:知的障害者福祉法(厚生労働省)

精神障害者の定義

精神障害者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(第5条)によると以下のように定義されています。

精神保健および精神障害者福祉に関する法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患をもつ人をいいます。

参考:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(厚生労働省)

難病の定義

難病における定義は、厚生労働省の「難病の患者に対する医療等に関する法律」によると以下のようになっています。

  • 発病の機構(=原因)が明らかではない
  • 治療方法が確立していない希少な疾病である
  • 長期にわたって療養を必要とする

希少な疾病にはがん、精神疾患、感染症、アレルギー疾患など個別の施策体系が確立している疾患は含まれません。

参考:難病の患者に対する医療等に関する法律(厚生労働省)

障害者手帳とは

前述で触れた障害者手帳は、障害のある人が取得することができる手帳の総称です。

自治体によって名称が異なりますが、基本的に「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。

手帳を所有すると、障害の種類や程度・等級に応じて公共交通機関の運賃や公共・民間施設の利用料が割引になったり税金の控除が受けられたりするなどさまざまな福祉サービスを受けることが可能です。

また補装具を必要とする場合は購入費用の負担を軽減する助成制度が活用できるほか、企業における法定雇用率の算定対象となるため障害者雇用枠での求人応募ができます。

障害者手帳については、別記事で紹介します。

障害者という言葉の定義や考え方まとめ

障害者という言葉を聞くと、障害者手帳をもっている人だけに限定して使われることが少なくありません。

しかし定義というのは時代や考え方、使われる法律・制度、場所、場面で変わります。

障壁により生きづらさを感じている人や障害・疾患の診断が下りない人だけでなく、多くの人が社会と関わる中で生きづらさを感じたことがあるでしょう。

心身の機能障害の有無にかかわらず、社会の中で障害や障壁を感じる人たちを減らしていく取り組みが幅広い障害者の生活しやすい生活や環境を作っていくことにつながるのではないでしょうか。

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