
携帯電話やスマートフォン、インターネット通信など。
聴覚障害のある人にとって音声通話が中心となる電話は必要のないツールだと思われがちですが、IT社会となっている近年ではメールやチャットなどの文字によるやりとりも可能です。
そんな通話や通信サービスには、障害者に向けた割引サービスがあるのをご存知でしょうか。
携帯大手のドコモ・au・ソフトバンクの3大キャリアをはじめ、一部の通信会社にはインターネットやWi-Fi通信の障害者割引制度があります。
この記事では、電話・通信に関連する障害者割引について紹介します。
携帯電話・スマートフォンの障害者割引
携帯電話やスマートフォンの月額料金や音声通話のオプションには、障害者割引サービスがあります。
割引の適用には店舗・ショップでの申し込みが必要ですので、各公式サイトを確認してください。
障害者割引の条件
障害者割引の条件は、各キャリアともに共通で以下の交付を受けている人です。
- 身体障害者手帳
- 療育手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 特定疾患医療受給者証
- 特定疾患登録者証
- 特定医療費(指定難病)受給者証
携帯電話の料金割引における留意点
インターネット社会となった今、携帯電話やスマートフォンの利用料金も気になるところで、障害者割引制度を導入している携帯会社は以下の通りです。
料金プランによって割引が適用される可否が分かれますので、契約や機種変更の前に事前に確認することをおすすめします。
ただし各キャリアが運営する格安スマホには割引制度がない点には注意してください。
次項からは、携帯会社別に設けられている障害者割引サービスについて紹介します。
ドコモ:ハーティ割引
ドコモの障害者割引には、ハーティ割引という名称で設定されています。
ハーティ割引は、前述の各種手帳や受給証の交付を受けているドコモの契約者本人が使用する携帯電話の基本使用料や各種サービスの月額使用料を割引する優遇措置です。
2025年時点でのハーティ割引内容は、以下の通りです。
障害者割引対象の料金プラン
障害者割引対象となる月額料金のプランは、5G対応プラン・Xi対応プラン・FOMA料金プラン・Xi料金プランなどです。
料金プラン | 通常の料金 | ハーティ割引の料金 |
---|---|---|
eximo(無制限) | 月額7,315円 | 月額5,808円 |
5Gギガホ プレミア(無制限) | 月額7,315円 | 月額5,808円 |
Xiギガホ プレミア(~60GB) | 月額7,205円 | 月額5,698円 |
音声オプションの障害者割引
音声オプションをつけた場合にも割引がありますので、下記表を参考にしてください。
音声オプション | 通常の料金 | ハーティ割引の料金 | 通話料 |
---|---|---|---|
5分通話無料オプション | 月額880円 | 無料 | 国内通話 5分以内:無料 5分超過分:30秒あたり22円 |
かけ放題オプション | 月額1,980円 | 月額1,100円 | 国内通話かけ放題 |
同じ料金プランでも一部割引対象外となったり一定の条件があったりするケースもありますので、下記サイトをご参考ください。
参考:ハーティ割引(ドコモ)
au:スマイルハート割引
auの障害者割引サービスには、スマイルハート割引という名称で設定されています。
スマイルハート割引は、au回線を契約している障害者本人に携帯電話の基本使用料や各種サービスの月額使用料を割引で提供するサービスです。
各料金プランの基本料金から割引を受けることができるほか、通話料やSMS送信料の割引サービスもあります。
2025年時点でのスマイルハート割引内容は、以下の通りです。
基本使用料の障害者割引例
auの料金プランは種類が多く全てを掲載できませんが、スマイルハート割引が適用される代表的な料金プランの一例は以下の通りです。
料金プラン | 基本料金 | スマイルハート適用後の割引額 |
---|---|---|
auバリューリンクプラン | 月額5,478円(税込) | 440円 |
auマネ活バリューリンクプラン | 月額4,228円(税込) | 440円 |
使い放題MAX+5G/4G | 月額5,258円(税込) | 440円 |
auマネ活プラン+5G/4G | 月額4,008円(税込) | 440円 |
スマホミニプラン+5G/4G | 月額2,398円(税込) | 440円 |
スマホスタートプラン | 月額4,103円(税込) | 407円 |
ケータイプラン | 月額1,408円(税込) | 407円 |
上記プランの基本料金は、最も高い料金で掲載しています。
そのため、パックとの組み合わせや各種割引の適用で基本料金より安い場合もあれば月間データ利用量により自動的に割引される場合もあります。
スマイルハート割引には、家族割やau PAYカードでの支払いによる割引など他の料金割引サービスと併用することが可能です。
通話料・SMS送信料の障害者割引
通話先・SMS送信先 | スマイルハート適用後の割引率 |
---|---|
au電話への通話料・一般電話への通話料 | 50%割引 |
他社携帯電話・PHSへの通話料 | 20%割引 |
au電話へのSMS送信料 | 50%割引 |
他社携帯電話・PHSへのSMS送信料 | 20%割引 |
同じ料金プランでも一部割引対象外となったり新規受付を終了した料金プランがあったりするケースもありますので、公式サイトを確認してください。
ソフトバンク:ハートフレンド割引
ソフトバンクの障害者割引には、ハートフレンド割引という名称で設定されています。
ハートフレンド割引は、ソフトバンク回線での契約で障害のある人を対象とした割引サービスです。
2025年時点でのハートフレンド割引内容は、以下の通りです。
基本料金の障害者割引例
ソフトバンクのハートフレンド割引では、例えばスマ放題・スマ放題ライトのいずれかの料金プランにハートフレンド割引を組み合わせることで通常より1,870円割引となります。
料金プラン | 通常の料金 | ハートフレンド割引適用後の料金 |
---|---|---|
スマートフォン通話定額基本料 (スマ放題 2年契約なし) | 月額4,620円 | 月額2,750円 |
スマートフォン通話定額ライト基本料 (スマ放題ライト 2年契約なし) | 月額3,520円 | 月額1,650円 |
ケータイ通話定額基本料 (スマ放題 2年契約なし) | 月額4,070円 | 月額2,200円 |
ケータイ通話定額ライト基本料 (スマ放題ライト 2年契約なし) | 月額2,970円 | 月額1,100円 |
タブレットプラン (スマ放題 2年契約なし) | 月額3,520円 | 月額1,650円 |
各種手数料の障害者割引
ソフトバンクのハートフレンド割引では、以下の各種手数料が無料です。
各種手数料 | ハートフレンド割引料金 |
---|---|
契約事務手数料 | 無料 |
機種変更手数料 | 無料 |
契約変更手数料 | 無料 |
譲渡承認手数料 | 無料 |
他にもウェブ使用料や割込通話、電話帳バックアップなどといった各種オプションの月額使用料が60%割引になります。
同一名義の別回線ではハートフレンド割引の適用ができないといった条件もありますので、下記サイトで確認してください。
インターネット
インターネット回線(光回線)で障害者割引が使える事業者は、以下の通りです。
J:COM NET
J:COM NETでは、サービスエリアに住んでいる障害をもつ人を対象に一般料金を減額したハートフルプランを設定しています。
障害者割引の対象商品
商品名 | 一般料金 | 障害者割引料金 |
---|---|---|
J:COM TV シン・スタンダード | 月額5,500円(税込6,050円) | 月額 2,750円(税込3,025円) |
J:COM NET 1Gコース | 月額6,700円(税込7,370円) | 月額 3,550円(税込3,905円) |
J:COM PHONE ハートフルプラン | 月額1,510円(税込1,661円) | 月額 755円(税込830円) |
障害者割引の対象者
J:COM NETの障害者割引は、以下の手帳をもっている本人または本人と同居し扶養されている家族が対象です。
身体障害者手帳 | 1級・2級 |
療育手帳 | 最重度・重度・中度 |
精神障害者保健福祉手帳 | 1級 |
フレッツ光(エディオンネット経由)
フレッツ光公式で実施されている障害者割引はありませんが、エディオンネット経由で申し込んだ場合に障害者割引を利用できる光回線プランがあります。
障害者割引の内容・留意点
サービス利用料330円とプロバイダ料1,320円で月額利用料合計が一般料金では1,650円ですが、障害のある人はプロバイダ料を770円割引で月額利用料が880円になる仕組みです。
料金内容 | 一般料金 | 障害者割引料金 |
---|---|---|
サービス利用料 | 330円 | 330円 |
プロバイダ料 | 1,320円 | 550円 |
月額利用料合計 | 1,650円 | 880円 |
別途NTTフレッツ光あるいはエディオン光への契約が必要ですが、プロバイダ料金として月額880円の割引を受けることができます。
障害者割引の対象
エディオンネット経由のフレッツ光で障害者割引が利用できる対象は、身体障害者手帳1級・2級・3級の交付を受けているフレッツプラン光の契約者です。
Wi-Fi通信
高速なWi-Fi通信によるインターネット利用で障害者割引が使える事業者は、以下の通りです。
- UQ WiMAX
UQ WiMAX:ハート割
UQ WiMAXのハート割は、UQ WiMAX回線の利用で障害のある人向けの料金プランです。
料金プランによって割引率が異なりますので、下記例を参考にしてください。
基本料金の障害者割引例
料金プラン | 通常の料金 | ハート割適用後の料金 |
---|---|---|
WiMAX +5G ギガ放題プラスS | 月額4,950円 | 月額4,530円 |
WiMAX +5G ギガ放題プラス | 月額4,950円 | 月額4,530円 |
新規受付を終了した料金プランもあるため、公式サイトで確認してください。
障害者割引の対象
UQ WiMAXのハート割が適用される対象は、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のほか特定疾患医療受給者証や特定疾患登録者証のいずれかの交付を受けている人です。
電話・通信における障害者割引まとめ
携帯電話やスマートフォンの利用料金にも障害者割引があります。
インターネットが主流になっている現在では、通話よりも通信にお金をかけることが多いでしょう。
もしかしたら通話をベースとする基本料金の障害者割引を利用するよりも、パケット通信料金を気にしたほうが安いかもしれません。
通話が多いか通信が多いか、利用する環境や状況によって支払いがどのくらい違うか比較しながら選ぶようにしましょう。
筆者は、auやソフトバンクの基本料金が半額になる障害者割引を10年以上活用していました。
しかし難聴が進行し通話ができなくなったこと、逆に通信することのほうが多く基本料金の障害者割引では意味がないことからソフトバンクの格安キャリアであるワイモバイルに乗り換えました。
なぜワイモバイルにしたのか、それは他の格安スマホには提供されない携帯キャリアのメールアドレスをつけてくれることが大きな決め手でした。
またソフトバンクの契約時に使用していたメールアドレスは、変更することなくワイモバイルへ引き継ぐことも可能です。
携帯キャリアのメールアドレスはiPhoneの場合にSMS・MMSやメッセージなどのアプリを使ってやりとりをするのに通話機能を使いますが、同じ携帯会社同士やApple製品同士であれば無料になります。
ワイモバイルに乗り換えたことで障害者割引はありませんが、ソフトバンクの契約時に支払っていた月額料金の約半額で支払うことができているため格安スマホの乗り換え契約も1つの選択肢として比較検討してみてください。
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