
日本国内で2,000店舗以上を展開するコーヒーチェーンのスターバックス コーヒー。
そんなスターバックスでは、聴覚に障害がある従業員を中心に手話を主なコミュニケーション手段とするサイニングストアが東京都内に1店舗あります。
通常の店舗でも聴覚障害者の店員が接客することがあり、難聴や聴覚障害をもつ利用客に対してもスムーズに対応できるような体制が整っているのをご存知でしょうか。
この記事では、聴覚障害のある従業員を中心に運営するスターバックスのサイニングストアについて解説します。
サイニングストアを利用した筆者体験や関連商品も紹介していますので、障害の有無にかかわらず多様な人たちが活躍できる環境を提供するスターバックスをより深く知るご参考になれば幸いです。
スターバックスのサイニングストア

スターバックスは、世界87カ国で4万店舗以上を展開する世界最大のコーヒーチェーンです。
1996年に日本1号店となる銀座松屋通り店(東京・銀座)をオープンし、2025年9月末時点で国内店舗は2,000店舗以上まで拡大しています。
2026年は日本に進出してから30年を迎えることとなります。
スターバックスの基本概要については、下記記事をご参考ください。

サイニングストアとは
サイニングストア(Signing Store)とは、聴覚障害のあるパートナー(従業員)を中心に手話を共通言語としてコミュニケーションをとる店舗のことです。
スターバックスのサイニングストアはマレーシアやアメリカ、中国で展開しており、日本初としてオープンしたnonowa国立店は世界で5店舗目となります。
手話が使えるバリスタが多く、手話ができない人には指差しで注文できる専用のメニューシートや筆談具も用意されています。
また「世界一静かなスタバ」とも呼ばれ、障害の有無にかかわらず全ての人が利用できる環境が特徴です。
店内環境の工夫
サイニングストアにおける店内環境の工夫として、簡単な手話の表現を描いた絵や手話をモチーフにしたアート作品を展示しています。
注文や商品を受け取る店舗スタッフは、口元の動きや表情が見やすい透明なマスクの着用や業務をサポートするデジタルウォッチを導入することで対応可能です。
商品の受け取りは、デジタルサイネージ(電子看板)にレシートの番号を表示して知らせるなど視覚的な工夫を施しています。
手話カフェ・手話セミナー
他にも聴覚障害のあるスタッフが自主的に企画・運営する手話カフェや手話によるコーヒーセミナーなどの活動も行われています。
日本国内におけるサイニングストア

日本国内におけるスターバックスのサイニングストアは、スターバックス コーヒー nonowa国立店です。
日本初のサイニングストア・nonowa国立店
スターバックス コーヒー nonowa国立店は、世界で5店舗目の取り組みとして2020年6月27日に東京都国立市でオープンしました。
公式によると、店舗スタッフの半数以上が聴覚障害者です。
日本初のサイニングストアとして手話による接客のほか指差しメニューボード、音声認識や筆談ができるタブレットなど多様な注文方法を提供しています。
他にも簡単な手話を学べる掲示やデジタルサイネージなどが店舗内に用意されているなど、コミュニケーションが図りやすい工夫がされているのが特徴です。
この取り組みは聴覚障害をもつスタッフたちの声がきっかけとなり、多様な働き方を推進するダイバーシティ活動の一環として行われています。
参考:国内初のスターバックス サイニングストアが東京・国立市にオープン
スターバックス コーヒー nonowa国立店の基本情報

スターバックス コーヒー nonowa国立店の基本情報は、以下の通りです。
| 店舗名 | スターバックス コーヒー nonowa国立店 |
| 住所 | 東京都国立市北1-14-1 nonowa国立 |
| 営業時間 | 7:00~22:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| 店舗面積 | 207.96㎡ |
| 席数 | 83席 |
| 交通アクセス | JR「国立」駅北口より徒歩2分 JR「西国分寺」駅南口より徒歩25分 |
| 公式サイト | nonowa国立店の店舗情報を見る |
nonowa国立店を利用した人の口コミ
日本初のサイニングストアであるスターバックス コーヒー nonowa国立店を利用した人の口コミ・感想を集めましたので参考にしてください。
nonowa国立店を利用した筆者体験・感想
筆者も日本唯一のサイニングストアであるスターバックス コーヒー nonowa国立店へいってみました。
JR国立駅ホームから中央改札を出ると北口を指す左斜めのほうに、STARBUCKSを指文字(ASL:American Sign Language)で表現した看板が目印となっており見つけやすいです。
スターバックス コーヒー nonowa国立店は、駅から直結する商業施設のnonowa国立の中にあります。
視野が広く明るいインテリア

黒い骨格が特徴の自動ドアから店内に入って、まず目に飛び込んできたのは白を基調とした空間です。
他のスターバックスでは店舗によって多少の違いはありますが、天井や壁が黒とグレーを基調にしたインテリアで暗めの照明を照らしています。
また客席テーブルもクスノキの曲線模様を生かした濃いブラウンで、全体的に落ち着いた印象が強いです。
一方でnonowa国立店は対照的に、天井も壁も白で照明も白っぽく明るさを強調している印象です。
一部の壁面やテーブル・椅子はベージュに近いブラウンの木製で、明るく温かな雰囲気を作り出しています。
利用客に合わせた注文方法

レジに並んでいると、カウンター横のフードケースにいた女性スタッフさんに手話で話しかけられたため手話はできないことを説明すると筆談ボードを出してくれました。
手話がわからなくても指差しメニューシートや筆談ボードもあるため、声に頼らないコミュニケーションで注文することが可能です。
サイズやトッピング、紙コップかマグカップかなど注文内容に足りない項目があれば、筆談ボードで示してくれます。
そして支払いのためにレジカウンターまでくると、いつものスターバックス店舗とは違う感じがしたのです。
なぜなのか理由がわからないまま支払いを済ませた後、指差しメニューボードを思い出して撮ってもいいか尋ねたところ快く応じてくれました。
商品のでき上がりは、レシートに記された呼び出し番号がデジタルサイネージに表示されることで教えてくれます。
コーヒーを飲んでいる間に他の利用客とのやりとりを目にしてわかったのですが、注文時に対応してくれた女性スタッフさんは手話の対応ができる聴者でした。
日常で手話を必要としない聴者でも、手話言語でのコミュニケーションができるように努力を重ねてきたのがわかります。
多様な人たちに配慮した環境

レジカウンターでの違和感は、iPhoneを取り出して指差しメニューボードにカメラを向けた時にわかりました。
それは、通常のスターバックス店舗よりレジカウンターの高さが低いのです。
空いてる席に座った時のテーブルも、筆者の身長では少し背を曲げる必要があるほど低めになっていました。
椅子も子ども用なのかと錯覚するほど低く、筆者の膝が座面より高いほどでした。
似たような環境でいうと、図書館の絵本コーナーにあるテーブルと椅子を想像するとわかりやすいかもしれません。
その時に聴覚障害に焦点をあてたサイニングストアという趣旨だけでなく、車いすの人にも使いやすいように配慮されているのだと理解しました。
また白を基調としたインテリアの明るさは、手話で会話をする利用客が互いの動きを見やすくするための視認性においても工夫されているのかもしれません。
視覚障害のある人にとっても物が見えやすいことは重要なバリアフリーともなります。
商品グッズの購入には注意が必要

コーヒーなどの飲食物を注文する時は指差しメニューボードがあるため、聴覚障害のあるスタッフさんが接客した場合でも不便なく注文が可能です。
しかし、コーヒー豆やマグカップなどの商品グッズを購入する時は不便を感じるかもしれません。
スターバックスには、実はサイニング関連商品があるのをご存知でしょうか。
商品情報については後述しますが、サイニング関連グッズを購入するのに展示されている商品ではなく包装された新品をお願いしたくてレジカウンターに並んでいました。
順番が回ってきて接客対応したのが、聴覚障害のある男性スタッフさんでした。
筆者はいつものように口頭で伝えてしまったのですが、筆談ボードを差し出してくれたため書いたところ主旨を理解してくれて収納棚から新品の関連商品をもってきてくれました。
この日は2度目の来店で年の瀬だったため、会計後に男性スタッフさんが筆談ボードに書いてくれたのは「良いお年を!」という言葉でした。
筆者は覚えている手話で「ありがとう」と返しましたが、今後のことを考えて面倒をかけてしまったことのお詫びを伝える「ごめんなさい」という手話を覚えておこうと誓いました。
そのようなわけで、指差しメニューボードにはない注文や質問の際は手話もしくは筆談で伝えるようにしたほうがいいです。
接客対応するのが聴者のスタッフさんであれば、いつも通り口頭で伝えても問題ありません。
メッセージから伺える願い

コーヒーを飲みに来た人も
働いているパートナーも
みんなが自分らしくいられる場所をつくりたい
ここはそんな私たちの想いから生まれたお店です
自分の可能性を信じ一緒に育んでいきませんか
出入口付近の壁面には、スターバックス コーヒー nonowa国立店がコンセプトに掲げる願いが掲げられています。
- 利用客として訪れる誰もがコミュニケーションの多様性を感じてもらうこと
- 聴覚障害のあるパートナー(従業員)も聴者と共に働き成長していくこと
そんな多様な人たちが、自分らしくいられる居場所を目指していることが伺える言葉です。
スターバックスが日本におけるサイニングストアの出店先として国立を選んだのは、国立市がすべての人を社会の一員として支え合い共に生きる、人権を尊重し多様性を認め合うという理念が合致したからだそうです。
障害の有無にかかわらずそれぞれが豊かな想像力でもって互いを思いやることができたら、誰もがもっと生きやすい社会が実現するはずです。
それが本当の共生社会といえるのではないか、そんな気づきを与えてくれる店がスターバックス コーヒー nonowa国立店だと感じました。
サイニングストア以外の店舗でも
スターバックスでは、サイニングストア以外の店舗でも聴覚障害のある店員が接客をする時があります。
また利用客が聴覚障害者である時には、注文から商品受け取りまで視覚的に進められるような対応を行っています。
以下の記事では、サイニングストア以外の通常店舗で聴覚障害のある店員の接客や利用客の反応について紹介していますので併せてお読みください。

サイニング商品の紹介

スターバックスでは、サイニングストアのパートナーとともに開発したサイニング商品を2点販売しています。
当初はスターバックス コーヒー nonowa国立店のみで展開していましたが、より日常のさまざまなシーンで傍に置いておきたい商品として一新し、現在は一部の店舗とオンラインストアでも購入可能です。
サイニングステンレスボトル


サイニングステンレスボトルは、表面にSTARBUCKSを指文字(American Sign Language)で表現したサインデザイン、裏面の下方に「ありがとう」を意味する手話のイラストがあしらわれているのが特徴です。
ボトルカラーは鮮やかなブルーグリーンをベースに、触れた手の温度で色が変わる感温塗装が施されておりブルーやピンク、黄色など幻想的な色合いに変わるのが注目ポイントです。
真空二重構造ステンレスで保温・保冷性に優れています。
ドリンクチケットが付属しており、使用期限がありますので注意してください。


| 商品名 | カラーチェンジングステンレスボトルARIGATO355ml |
| 材質 | 内びん:ステンレス鋼 胴部:ステンレス鋼 フタ:ポリプロピレン フタパッキン:シリコーンゴム |
| サイズ | 幅6.9cm×奥行き6.1cm×高さ20.8cm |
| 実容量 | 0.37L(使用推奨量:355ml) |
| 価格 | 4,600円(税込) |
| 商品リンク | 商品情報を見る |
サイニングジャーナルブック

サイニングジャーナルブックは、スターバックスのロゴカラーと同じ深いグリーンのハードカバーの手帳で使いやすいA5サイズ展開です。
最初の数ページに簡単な挨拶や数字、コーヒーなどの注文時に役立つ表現など日常生活で使える手話のフレーズがイラストで紹介されています。
留めやすいバンドとしおりの代わりになるリボンが2枚付属しています。


| 商品名 | ジャーナルブックARIGATO |
| 材質 | カバー:ポリウレタン 本体:紙(パルプ) リボン:ポリエステル |
| サイズ | 幅14.5cm×奥行き1.5cm×高さ21.5cm (A5サイズ程度) |
| 実容量 | 0.37L(使用推奨量:355ml) |
| 価格 | 2,500円(税込) |
| 商品リンク | 商品情報を見る |
聴覚障害者に優しいスターバックスまとめ

聴覚障害者が働きやすく、手話でのコミュニケーションを重視したサイニングストアを展開するスターバックス。
障害の有無にかかわらず誰もが自分らしく活躍できるインクルーシブな社会の実現を目指し、サイニングストアを通じて「手話は言語である」ことを発信し続けているのです。
サイニングストアに限らず、通常のスターバックス店舗でも聴覚障害のあるスタッフが店頭に立って接客を行うことがあります。
健聴者も難聴者も分け隔てることなく運営するスターバックスで、とくにサイニングストアを一度は利用してみてはいかがでしょうか。
以下の記事では、障害者が社会に参加する上で生じる4種類のバリアと心のバリアフリーの重要性について解説していますので併せてお読みください。

コメント