旅行ツアーや宿泊施設の障害者割引はある?温泉やホテル、観光・アウトドアをよりお得に利用

旅行ツアーや宿泊施設の障害者割引はある?温泉やホテル、観光・アウトドアをよりお得に利用

温泉やホテルなどの宿泊・休養、旅行にまつわる施設やサービスなど。

しかしながら、民間の旅行ツアーや宿泊施設の利用における障害者向けの割引対応は多くありません。

それでも旅行や宿泊の際に、少しでも費用負担を軽くできる手段や使いやすいサービスを知っておくことが重要です。

この記事では、旅行ツアーや宿泊・休養施設など観光にまつわるサービスを一例に障害者向け割引料金の対応可否を紹介します。

数は少ないですが、健常者よりも行動が制限される障害をもつ人が旅行や観光を楽しむ上で費用負担を軽減できる情報としてご参考になれば幸いです。

目次

旅行・ツアー

結論からいうと、旅行会社が独自に打ち出しているツアー料金に障害者割引はありません。

ただし国内に限りますが、旅行やツアーで利用する交通機関や旅館などで特別な配慮を必要とする人のサポートはしてくれます。

また、障害者旅行をサポートする旅行サービスもあります。

HISユニバーサルツーリズムデスク

代表的な旅行会社のHISが運営するユニバーサルツーリズムデスクは、車いすの人をはじめとする身体に障害をもつ人や高齢の人など旅に不安を感じている人に向けた海外旅行・国内旅行を案内する専門デスクです。

視覚障害・聴覚障害・知的障害・内部障害などにも対応しており、例えば聴覚に障害のある人が一般のツアー商品や航空券の申込みをする際のサポートをしてくれます。

また病気やケガ、加齢などにより運動機能や体力が低下して歩行に不安がある人、車いすや杖を日常的に使っている人でも専任添乗員が同行するユニバーサルツーリズムデスクのオリジナル旅行もあるそうです。

同行者が不在の1人旅でも参加ができる旅行介助サポーター制度もありますので、詳しくは下記リンクの公式サイトをご確認ください。

参考:HISユニバーサルツーリズムデスク

障害者の旅行は個別料金がおすすめ

前述の通り、旅行会社や旅行代理店が展開するパックやツアーにおける障害者割引は一般的にありません。

交通機関やホテルの宿泊代金にテーマパークなど観光スポットの入場料金がセットになったツアー料金は一見すると安いように見えますが、10~20組が一緒に旅行するためどちらかというと団体割引に近い仕組みです。

旅行会社ではツアーを活用するのではなく、新幹線や飛行機などの交通機関を単体で予約・購入する時には障害者割引が利用できます。

ただし旅行会社で交通機関のチケットを予約・購入すると、1,000円〜2,000円程度の発券手数料がかかるため個人的にはおすすめしません。

新幹線ならJRみどりの窓口、高速バスならバス会社の窓口やオンラインでの予約・購入がおすすめです。

筆者の経験上ですが、旅行会社のツアーを利用せずに交通機関や宿泊、各施設などの費用は個別で利用したほうが安く済みます。

新幹線や高速バスなどの公共交通機関では通常運賃の半額となり、テーマパークの入園料をはじめ美術館や神社仏閣などの利用料金なども割引が多いためです。

また同行する付き添いの人も1人までならほとんどが割引適用されます。

なお2人以上で旅行に行く際はパックやツアーを活用したほうがお得な場合もあるため、人数分のツアー料金と個別料金を比較検討することをおすすめします。

温泉・銭湯

国内のプチ旅行として、温泉や銭湯、スパにいく人も多いでしょう。

施設によって対応の有無はさまざまですが、日帰りであれば温泉や銭湯でも各種障害者手帳を提示することで割引を受けられることがあります。

その主な一例として、以下を参考にしてください。

秋川渓谷 瀬音の湯

秋川渓谷にある瀬音の湯では、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者手帳・戦傷病者手帳の提示により以下の割引料金が適用されます。

区分一般料金(延長料金)障害者料金(延長料金)
大人(中学生以上)1,000円(200円)400円(100円)
子ども(小学生)500円(100円)200円(100円)
入浴料金は3時間、延長料金は1時間ごと、下足ロッカーは別料金で1人100円

公式サイト:秋川渓谷 瀬音の湯

箱根小涌園ユネッサン

神奈川の箱根にある温泉リゾート・箱根小涌園ユネッサンでは、温泉エリアに属している森の湯で障害者割引があります。

区分一般料金障害者料金
大人1,500円1,100円
子ども1,000円500円

公式サイト:ユネッサンリゾート

銭湯・スパ

郊外や地方に多く見られる昔ながらの銭湯でも、経営者の意向によっては障害者割引を設けているところもあります。

筆者もある地方の銭湯を利用した時にあまりにも安かったため一般の大人料金で支払いましたが、障害者や高齢の人は子ども料金の扱いでした。

なお経営者や事業者によって対応が異なりますので、銭湯をはじめ旅行・宿泊先近くの大浴場などを利用する際は事前に確認してください。

他にもスパや健康ランドでも障害者料金を設定しているところもありますので、公式サイトなどでチェックしてみましょう。

ホテル

ホテルでの宿泊における障害者割引や優遇制度は、一般的には多くありません。

ただし一部の国内ホテルではバリアフリーに取り組んでいるところもありますので、一例として以下を参考にしてください。

東横INN

全国に300店舗以上ものある東横INNには、障害のある人が不便を感じないように「ハートフルルーム」という部屋が用意されています。

宿泊・利用料金の障害者割引はありませんが、車いすの人でも宿泊ができるように配慮がなされています。

公式サイト:東横INN

ニューオータニホテルズ

ホテルニューオータニでも宿泊・利用料金の障害者割引はありませんが、ユニバーサル対応を行っています。

車いすや高齢の人向けに配慮されたユニバーサルルームやバリアフリールーム、バスタブの滑り止めマットや移動台といったユニバーサル対応備品も用意されています。

ベビーおむつ替えシートを設置したユニバーサルトイレもあり、一部のトイレにはオストメイトがあります。

参考:ユニバーサル対応のご案内(ホテルニューオータニ)

他にもバリアフリーに対応しているホテルも多いため、宿泊予約前に一度確認してみてください。

休暇村

休暇村は、1961年より一般財団法人休暇村協会が運営しているリゾートホテルです。

全国38ヶ所の国立・国定公園にあり、障害者手帳を提示することで1人1,620円の割引で利用できたりコテージやキャンプ場の利用で最大25%の割引が受けられたりします。

ただし宿泊プランや条件によっては割引対象外となることがあるため、公式サイトを参考にしてください。

休暇村ではバリアフリーも取り組んでおり、全休暇村に多目的トイレを備えているほか玄関前スロープや館内通路の段差をなくすことで車いすでも利用しやすい客室などの設置を進めているそうです。

またお年寄りや身体の不自由な人をサポートするサービス介助士の資格をもつスタッフも全休暇村に常駐しています。

参考:障害者・バリアフリー(休暇村)

公式サイト:休暇村

国民宿舎

国民宿舎は、国立公園・国定公園・都道府県立自然公園・国民保養温泉地などの自然環境に優れた休養地に建つ公営の宿泊施設です。

北海道から九州まで全国44ヶ所にあり、誰でも余暇を楽しみながら健康の増進を図るため気軽に利用できる宿舎としてつくられました。

国民宿舎の障害者割引は、施設ごとに異なるため一律ではありません。

障害者割引が適用される場合には、本人と介護者1名が割引対象となることが多いです。

通常と同じ料金でも車いす対応型の部屋やバリアフリールームなどが設置されている国民宿舎もあります。

各国民宿舎の案内ページで障害者割引の有無や内容を確認してください。

公式サイト:公営国民宿舎

以下の記事では、バリアフリーについて紹介していますので参考にしてください。

観光・アウトドア

旅行に通じますが、登山やハイキングなどを含む観光やアウトドアにおける料金には障害者向けの割引・優遇制度があります。

ここでは観光・アウトドアで障害者割引を活用できる代表的な一例として紹介しますので参考にしてください。

富士山の通行料・入山料

富士山世界文化遺産協議会では、富士山の環境保全や登山者の安全対策などを図ることを目的に富士山保全協力金制度が実施されています。

美しい富士山を後世に引き継ぐための、いわゆる通行料・入山料です。

五合目から先に立ち入る来訪者が対象で、吉田・須走・御殿場・富士宮の4つあるルートで1,000円の支払いが必要です。

しかし子どもや障害者については協力できる範囲の金額と記載されているため、自分が支払いできる金額で入山できます。

参考:富士山保全協力金(富士登山オフィシャルサイト)

なお夏の登山シーズンになると通行料・入山料が値上げするなど料金が変動しますので、事前に公式サイトなどで確認してください。

公式サイト:富士登山オフィシャルサイト

登山鉄道・登山バス

登山鉄道や登山バスでは各社によって対応が異なりますが、障害のある本人と同伴者が一般料金の半額で利用できることがあります。

箱根登山電車・登山バスの場合

一例として、神奈川県の観光地として有名な箱根をめぐる箱根登山電車や箱根登山バスでは、第1種の身体障害者・知的障害者は介護者ともに半額です。

第2種の身体障害者・知的障害者は登山電車の割引がありませんが、箱根登山バスは本人のみであれば半額になります。

スクロールできます
交通機関手帳の種類本人介護者
箱根登山電車第1種5割引5割引
箱根登山電車第2種普通運賃
(101km以上の場合は5割引)
普通運賃
箱根登山バス第1種5割引5割引
箱根登山バス第2種5割引普通運賃
箱根登山バス精神障害者福祉手帳5割引普通運賃

第1種・第2種というのは、身体障害者手帳および療育手帳の旅客運賃減額欄に記載されています。

なお箱根登山電車については、2025年4月から精神障害者保健福祉手帳を所有している本人と介護者の運賃が割引になる制度が導入されていますので公式サイトで確認してください。

公式サイト:箱根ナビ

トロッコ電車

登山や渓谷散策での移動手段として稀に見るトロッコ電車も、実は障害者割引があるのをご存知でしょうか。

行楽シーズンに注目を集める京都・嵐山の嵯峨野トロッコ列車と富山・黒部渓谷トロッコ電車の障害者割引を一例に紹介しますので参考にしてください。

嵯峨野トロッコ列車

嵯峨野トロッコ列車は、京都観光の定番である嵐山と亀岡を結び四季折々の保津川渓谷の風景を堪能できる観光列車です。

JR山陰本線の複線化で使われなくなった線路を利用しており、ディーゼル機関車に引かれて渓谷をゆっくりと走り抜けるノスタルジックな雰囲気と車窓から見える美しい自然景観を楽しめます。

嵯峨野トロッコ列車の障害者割引は2種類あり、以下の通りです。

スクロールできます
区分一般第1種の障害者第2種の障害者
大人880円440円440円
小児440円220円220円
備考本人と同伴者1人本人のみ

第1種は、身体障害者手帳と療育手帳の旅客運賃減額欄が第1種と精神障害者保健福祉手帳1級を所有する本人と、同伴者(介護者)1人までが対象で一般運賃の半額になります。

第2種は、身体障害者手帳と療育手帳の旅客運賃減額欄が第2種と精神障害者保健福祉手帳2~3級を所有する本人のみが一般運賃の半額です。

公式サイト:嵯峨野トロッコ列車

黒部渓谷トロッコ電車

黒部渓谷トロッコ電車は、富山県の日本一深いV字峡谷である黒部峡谷を走る観光鉄道です。

もともとは黒部川のダム建設資材や作業員を運ぶための専用鉄道でしたが、現在は窓のない開放的な客車に乗って黒部峡谷のダイナミックな自然や四季折々の絶景を間近で楽しむことができます

黒部渓谷トロッコ電車の障害者割引は、種別や等級にかかわらず普通運賃の半額となっています。

乗車券を購入時に身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を提示することで、障害者本人と介護者1人までが半額です。

普通運賃は区間運行により異なり、シーズン時期や物価上昇などで変更される場合があるため事前に公式サイトで確認してください。

公式サイト:黒部渓谷トロッコ電車

トロッコ電車は他にも静岡の南アルプスあぷとラインや北海道のくしろ湿原ノロッコ号など意外にもたくさんありますので、公式サイトなどでチェックしてみてください。

ロープウェイ・ケーブルカー

山頂までいくロープウェイやケーブルカーでも障害者向けの割引料金があります。

そもそもハードな登山や高齢の人などトレッキングができない人のための乗り物でもあり、山頂まで気軽にいけるのは嬉しいものですね。

ここでは、有名な伊豆のロープウェイや高尾山ケーブルカーの料金設定を一例として紹介しますので参考にしてください。

伊豆パノラマパークのロープウェイ

例えば富士山をパノラマで望める伊豆パノラマパークでは、障害者が乗車するロープウェイ往復乗車料金が一般料金の約半額で利用できます。

区分一般料金障害者料金
大人(中学生以上)3,500円1,750円
子ども(小学生)1,800円900円
幼児(3歳以上)900円700円
往復料金、障害者本人1人につき介護者1人まで同料金

公式サイト:伊豆パノラマパーク

高尾山ケーブルカー

急勾配では日本一とされる高尾山にはケーブルカーがあり、障害者向けの割引料金が設定されています。

区分一般料金障害者料金
大人(中学生以上)950円470円
小児(4歳~小学生)470円230円
往復料金、障害者本人1人につき介護者1人まで同料金

公式サイト:高雄登山電鉄

上記は主に観光を目的とした移動手段について紹介しましたが、通常の公共交通機関における障害者割引については下記記事をご参考ください。

旅行にまつわる障害者割引まとめ

旅行会社による観光ツアーやホテルでの宿泊における障害者向けの料金割引は、一般に多くありません。

しかし現地までの移動手段として電車やバスなどの交通機関では条件によってほぼ半額の運賃で乗車することが可能です。

またテーマパークや動物園といったレジャースポット、博物館や美術館、神社仏閣といった芸術・文化施設での入場料や拝観料は比較的障害者割引が適用されています。

宿泊料金は一般料金にはなりますが、旅行会社の旅行・ツアー商品を申し込むよりも利用したい交通機関や施設・サービスなどにそれぞれ申し込んだほうがコストパフォーマンスが高いです。

ジャンルによって障害者向けの料金割引に有無が分かれるものの、それぞれの制度や仕組みをうまく活用しながら旅行を楽しみましょう。

以下の記事では、遊園地やテーマパークといった娯楽・レジャー施設における障害者割引について紹介しています。

旅行の一環として、テーマパークや芸術を堪能するための節約術として併せてお読みください。

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この記事を書いた人

つむぎのアバター つむぎ クリエイター

重度難聴で耳あな型補聴器を装用
聴覚障害者として身体障害者手帳3級を所有
本業・副業ともにWebを中心としたデザイン制作

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