
電子部品で構成された精密機器である補聴器。
そんなデリケートな補聴器だからこそ、時には違和感や不具合が見つかり故障することもあります。
例えば水や湿気で本体内部の部品が錆びたり、ホコリや耳垢によって音が通りにくかったりと原因はさまざまです。
この記事では、補聴器が故障しやすい主な原因と故障の状況・種類について紹介します。
故障が考えられる場合の対応や修理についても説明していますので、補聴器に違和感を感じたら参考にしてください。
補聴器が故障しやすい主な原因
補聴器は、あらゆる小さな部品で構成された精密機器であり医療機器です。
そんなデリケートな補聴器には故障になりやすい原因もさまざまで、主に以下の通りです。
水や汗による故障
補聴器は、水分や湿気に弱い精密機器です。
雨が降った時や運動時など水滴がかかったり汗をかいたりしたら、できるだけ早めに乾いた柔らかい布でこまめに拭き取るようにしましょう。
とくに耳かけ型補聴器は耳の後ろに流れ落ちる汗の影響を受けやすく、汗が本体の内部に染み込んでしまうと部品を腐食させてしまうことがあります。
補聴器をポケットに入れる人はあまりいないと思いますが、ポケットに入れたままの衣類をうっかり洗濯機の中に入れないようにしてください。
また水を浴びやすい水族館やテーマパークのアトラクションなどのイベントでは、帽子を被るなど水がかからないように工夫が必要です。
湿気や結露による故障
前述の通り、補聴器は湿気に弱いため湿度の高い場所にも注意が必要です。
台所や洗面所、浴室などでの装用時には注意し、サウナや岩盤浴などは水がかからないとはいえ汗による湿気が溜まりやすくなります。
また冬になると、多くの家では室外と室内の温度差によって結露が生じることが多いです。
補聴器も同じように、耳の中と補聴器に温度差が生じることで結露が発生することがあります。
そうすると音質などに影響が出てしまうことがあるため、その場合は補聴器専門店で点検を受けることをおすすめします。
耳垢などの汚れによる故障
補聴器は常に耳に差し込んだままの状態のため、音の入口に湿気だけでなく耳垢も溜まりやすいです。
そのまま放置してしまうと、音の通過経路に耳垢が詰まってしまうことで故障が起きやすくなります。
いつもより聞こえづらい時は、ブラシなどで耳垢などの汚れを落とすと再び聞こえるようになります。
しかし入り口奥にも汚れや湿気が溜まることもあるため、補聴器専門店で定期的なクリーニングをしてもらうことをおすすめします。
衝撃による故障
補聴器を落としたりぶつけたりすると、本体にひびが入ったり内部の部品が破損したりして大きなダメージを受けることがあります。
各メーカーが開発している段階で落下試験などを実施しますが、精密機器はやはり衝撃を与えないにこしたことはありません。
とくに耳あな型補聴器は小型で滑りやすく落としやすいため、より気をつけましょう。
ちょっとの間だけと、衣類のポケットやバッグの中に入れてしまうのも危険で他の部品とぶつかってしまうと後悔することにもなりかねません。
補聴器にひびが入ってしまうと、小さなひびであったとしても聞こえ方は必ず変わります。
音の大きさが不規則に変わったりジージー・ガーガーという機械音が聞こえたりします。
ひびが入った補聴器をそのままにしていると、外側だけでなく汗や湿気が内部に入り込みやすくなることで部品の故障の原因にもなるのです。
劣化による故障
補聴器のマイクやレシーバーに使われているゴム製やウレタン製の部品は、年数が経つことで摩耗劣化を起こしやすくなります。
一般的に、補聴器の耐用年数は5年です。
テクノエイド協会の補装具費支給事務ガイドブックに記載されており、補装具が修理不能となるまでの予想年数を目安としています。
とくに長く補聴器を使用している人は部品劣化も出てきますので、購入したお店で定期的に点検・分解掃除してもらうようにしましょう。
補聴器に多く見られる故障の状況・種類
補聴器は、故障の状況や種類によってはさまざまな症状が起こります。
以下のような症状を確認することで、不具合や故障の原因を見つけることが可能です。
音が出ない
肝心の音が出ない場合は、イヤホン・マイク・アンプ・電源のいずれかに故障が起きている可能性があります。
部品の損傷は自分ではどうすることもできないため、補聴器専門店や購入した販売店で対処してもらいましょう。
音が小さい
ボリュームを上げているにもかかわらず音が小さい場合は、マイクにほこりやゴミが詰まっているか、イヤホン部分に耳垢などが詰まっているかです。
筆者の経験ですが、他にもボリューム部分の劣化・損傷も考えられるため補聴器を購入した販売店での点検をおすすめします。
音が割れる
聞こえる音が割れるようにバリバリして聞き取りにくくなる場合は、主にイヤホンの故障です。
購入したお店が補聴器専門店であれば音の測定器があるため、音の歪み率を調べてもらうとよいでしょう。
また自分の聞こえが原因であれば、音のフィッティング(調整)をしてもらうことで解決することがあります。
異音が聞こえる
パチパチ・ザーザーという普段は聞こえない雑音やノイズが発生する場合は、マイク・アンプ・イヤホンのいずれかの故障が考えられます。
とくにマイクは、繊細なつくりでできていることで壊れやすい傾向があるため注意しましょう。
電池寿命が短すぎる
電池式の補聴器で、いつもは1~2週間くらいもつはずの電池が数日でなくなり使えなくなる状態もあります。
この場合は、以下のいずれかの可能性が高いです。
- 間違えて使用済みの電池を入れたか
- 電池の入れる空気孔が何かで詰まったか
- 補聴器本体に故障が起きたか
まずは新しい電池を交換する、電池の空気孔を布で拭き取るの2点をやってみてください。
それでも解決しなければ、購入した店で一度点検してもらいましょう。
スイッチが作動しない
補聴器のスイッチやボリューム調節を煩瑣に使うと、音が入らなくなったり音量の調整ができなかったりするなど作動しなくなる場合があります。
スイッチやボリュームの部分をチェックしてほこりや汚れがなければ、故障していることが考えられるため購入した店に点検してもらってください。
補聴器が故障した場合の対応と修理
前述のような違和感や不具合が解決しない場合は、補聴器を購入した専門店で点検してもらいましょう。
その場で直るものもあれば工場あるいはメーカー修理に出さなくてはならないものもありますが、いずれにしても解決が期待できます。
補聴器が故障すると、当然修理に出すことになります。
補聴器専門店にある設備環境で修復ができるなら1~2時間程度で済みますが、例えば部品の劣化や欠損による修理の場合は店舗に在庫がないと工場で分解し組み直すことになります。
工場やメーカー修理となると、最短でも1週間はかかることが多いです。
修理費用がかかるだけでなく、万が一に補聴器を預けることになった場合は使えない期間が生じるため、上記のことに注意しながらできるだけ故障しないように気をつけてください。
故障・修理を味わった筆者の経験
実際に補聴器の故障や修理も味わった筆者の経験を紹介します。
水や汗による不具合
学生時代のある日、部活で汗をかいた後に音が入らなくなったことがあります。
当時は耳かけ型補聴器を利用していたため、耳の後ろに流れた汗が内部に入ってしまったのだと理解しました。
その時は帰宅してから乾燥ケースに入れているいつもの習慣に加えて、電池を入れる空気孔を開けてドライヤーの冷風を当てたところ音が入るようになったのです。
それ以来、汗をかいた後に音が入りにくくなった時はドライヤーを当てていましたが、ドライヤーが使えない場所では電池の入り口に冷たい息を吹きかけるようにしていました。
また突然の雨で髪が濡れたことで水がかかり音が入らなくことがあるため、ドライヤーで乾かしていました。
今思うと強引な対処方法でしたが、水や汗のせいかなと思ったら緊急時はドライヤーの冷風を当てる応急措置も効果があります。
しかし場合によっては別の原因もありえるため、できるだけ早めに補聴器専門店での点検・クリーニングをおすすめします。
経年劣化による故障・修理
耳あな型補聴器に音が入らなくなったことがあり、電源と音の調整が同じボリューム部分のレバーを回しても変化がありません。
新しい電池を交換したりいつもより念入りに乾燥させたりしましたが、自分ではどうすることもできませんでした。
そこへ購入したお店にもっていったところ、ボリューム部分のレバーが経年劣化により電源と音量の接続ができなくなっていたため交換しました。
この時はすでに8年間も同じ補聴器を使っており、耐用年数の5年を超えていたのです。
高額な補聴器を5年で、しかも両耳分を買い替える費用負担の大きさを考えると、できるだけ長く使いたい気持ちはわかっていただけることでしょう。
補聴器本体の損傷によるつくり直し
筆者はある日の勤務中に右耳の耳あな型補聴器にいつもより音が小さくかすれて聞こえたため、電池切れなのかと思い新しい電池と交換したものの元に戻りませんでした。
それでも体調のせいだと思い気に留めていませんでしたが、さらに音がはっきり入りづらくなっていたことで午後半休を取ってお店で点検してもらったところ破損が発覚しました。
右耳の補聴器本体に原因不明のひび割れが生じて、25,000円の修理費がかかることになったのです。
自分では日頃から気をつけていたはずなのに、これまで点検・分解掃除で補聴器を預けた時に受付の人もしくは技術士の扱いが雑だったのかもしれません。
対応した担当者曰く、最初の耳型ができた段階でひびが入った箇所が薄かったかもしれないとのことでした。
またひび割れで修理に出すということは、工場で耳型をつくり直すことになるため1週間は預けることになります。
修理が上がってくるまでの間は前に使っていた補聴器を装用していましたが、古くて音があまり入ってこないために不便でした。
工場での対応が必要なほど大きな修理となると、費用コストだけでなく修理期間中は装用できない煩わしさも考慮する必要があります。
最終的には保証期間内だったのにもかかわらず修理内容が保証対象外だったことで、この時の修理は生活費を抑えないといけないほどの痛い出費になりました。
なお、場合によっては医療費控除として確定申告することで還付金が得られることもありますので詳しくは別記事で紹介します。
補聴器が故障しやすい原因まとめ
精密機器であり小さな医療機器でもある、デリケートな補聴器。
水や湿気に弱いだけでなく、衝撃や経年劣化など故障になりやすい原因は多くあります。
急な故障や修理が生じることなくできるだけ長く使えるようにするためにも、定期的な点検・クリーニングをおすすめします。
補聴器は、大事な身体の一部です。
上記のような補聴器の違和感や不具合を感じたら。
自分で解決できない状態であれば、購入した店で点検し対処してもらいましょう。
以下の記事では、補聴器の音を伝える仕組みや目的・役割について解説していますので併せてお読みください。

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